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「無理」
あの時そう応えた私はあまりにも勇気がなかったのだ
自分とは違う世界にいる彼の側にいれる自信などなくて、
ただ自分を守りたくて芽生えかけていた小さな気持ちを自ら摘み取った
本当は分かってた…
出会った時から、自分がこの男に惹かれてることくらい…
「どこ向かってるの？」
「あ？リョウクに教えてもらった店」
「リョウクが？じゃあ相当美味しいね」
「…いつの間に呼び捨てになったんだよ」
「……最近？」
それからしばらく黙ったかと思って目線を外に向きかけたとき、
「連絡とってんのか？」
「え？…リョウク？」
「他に誰がいんだよ」
「ああ…たまに、かな…？」
それからまた無言になる
ねえヒチョル…
そんな横顔されたらさ、もしかしてまだ…って期待してしまうんだよ、私…
カーステレオからは無駄にテンションの高い曲が流れていて、彼がそれに合わせて身体を揺らしたり、ふざけて歌ったりするもんだから「うるさい」とか言いつつも私もいつの間にか笑ってしまう
ヒチョルが笑えば私も笑う
私が笑えばヒチョルは私をバカと笑う
ムカついてバカと言い返せば鼻で笑われて…私は怒ったフリして…
そんな居心地のいい場所…
今のそんな場所を「友人」という立場で守ったのは私だ
あの時受け入れていたら？勇気を出していれば？
そんなバカなことを考えては、
しょっちゅう通る車の中から見えるこの風景も、私たちのこの距離も、
もう変わることなんてないんだと、何度も心の中で繰り返す
「迷った」
ヒチョルがぽつりとそう言った頃にはそんな景色も遠のいて、だいぶ田舎道まで来たようだった
なんだ、動けば景色だけは変わるんだ…
なんてぼんやり当たり前のことを考えていたら、
「おい、聞いてんのか？迷った」
彼は周りに畑しかない田舎道で車を止めるともう一度繰り返した
「偉そうに言わないでよ。だからさっきの道で曲がるって言ったじゃない」
「俺じゃなくて分かりづらいナビに言えよ」
「ナビは正確だったわよ。で、どうすんの？」
「いつになったら…いいんだよ」
返って来たのは、いつかのあの日のように、答えにならない応えだった
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ルル(プロフ) - SK ジンニムさん» 読んでいただいてありがとうございます！他のお話もキュンキュンしてもらえるように頑張りますね＾＾ (2019年8月27日 23時) (
レス) id: 84ad280061 (このIDを非表示/違反報告)
SK ジンニム(プロフ) - こんにちは！リョウクのお話…めちゃくちゃキュンキュンしました…最高です！他の作品も頑張ってください！ (2019年8月27日 1時) (レス) id: 4e5b2c9bbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルル
| 作成日時：2015年8月13日 3時
