sweet time...#6:1 ページ31
『旨い飯が食いたい』
夜中に着信音に叩き起こされたかと思うと、突拍子もないその第一声
「…あと何分？」
『１分。もう下にいる』
「…分かった」
通話を切ってカーテンを軽く開くと、マンションの下に見える見慣れた車
ジーンズにTシャツ、パーカーを羽織ってスニーカーで部屋を出る
エントランスを抜けて、車に近づくとロックが解除されて素早くその車に乗り込んだ
運転席の彼は私の方をチラッと見ると、
「…おまえ、宇宙大スターが迎えに来てんだからもうちっと洒落た格好してこいよ」
「夜中に人叩き起こすやつが大スターなわけ？」
「うるせー」
「ほら、行くんでしょ？」
ちっ、と舌打ちすると彼は車を発進させた
だけどその横顔は少し楽しそうに見えるから、私も少し口角が上がるのを口元で隠して窓の外に視線を向けた
ヒチョルに夜中に呼び出されるのはこれが初めてじゃない
それは頻繁にだったり、全く来なかったりする…
連絡が来ないときは、たいていこの男に女がいるときで…
まあ結局はそれもあまり続かないようで、『酒付き合え』って言われたときはそれは一つの別れが訪れた時なのだと分かる
その度に私は心の中で、少しだけ喜んでいる自分を必死に心の奥に押し込める
今日みたいに『旨い飯が食いたい』って言う日は、機嫌がいい時か、何か大変な仕事が入って緊張してる時とか…
そんな態度の違いに気付けるようになったのはいつだっただろうか…
共通の友人がいた私たちは、知り合って間もなく距離が近くなった
お互い言いたいことをはっきり言うせいか、気が合ったらしい
仲の良い男友だち…それを止めようとしたのはヒチョルのほうだった
それは唐突に、そう、あれが初めて真夜中に呼び出された日だった
車に乗り込んでからしばらく、無言で車を走らせる彼に「どこへ行くの？」と問いかけると、
「俺と付き合え」
って答えになっていない応えが帰って来て…
私は
「無理」
ってそう一言応えたんだ
彼はしばらく何も言わず、私は今みたいに窓の外をただ見ていた
「そうか…」
一言、彼の低い声が聞こえた後は、お互い何も言わなくて…
何事もなかったんじゃないかって思うくらい、ごく自然にご飯を食べる彼に少し驚いて、そのままいつものように会話してマンションまで送ってもらった
もう連絡は来ないだろうと思っていたのに、それから数週間後…
『おい、旨い飯食いたい』
また夜中に電話がかかってきた
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ルル(プロフ) - SK ジンニムさん» 読んでいただいてありがとうございます！他のお話もキュンキュンしてもらえるように頑張りますね＾＾ (2019年8月27日 23時) (
レス) id: 84ad280061 (このIDを非表示/違反報告)
SK ジンニム(プロフ) - こんにちは！リョウクのお話…めちゃくちゃキュンキュンしました…最高です！他の作品も頑張ってください！ (2019年8月27日 1時) (レス) id: 4e5b2c9bbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルル
| 作成日時：2015年8月13日 3時
