帰るという選択肢 ページ19
一通り身体を拭き終わった所でハッとする
「ここ、お店の前だった…大丈夫かな?」
KH「ああ…大丈夫です。ここよくくる店なんで」
準備できたなら入りますよ?って言われて慌ててキュヒョンの後を付いて行く
当ても無く走ってたとばかり思ってたから、自分より計画性のあるキュヒョンにちょっと感心した
店の中へ入ると彼が振り返って、
KH「今感心したでしょ」
「な、違う…くないけど…」
笑うキュヒョンの肩を叩こうとしたところで、お店の方であろうちょっとダンディなおじさまが、
?「あれ?キュヒョン?」
KH「あ、ヒョン、空いてますか?急に降られちゃって…」
?「空いてるよ、いつもの個室も…なんだい?訳あり(笑)?」
ニヤっと笑うおじさまにブンブンと首を横に振る
KH「実は愛の逃避行を…」
「だから何よそれ(笑)」
KH「ヒョン、この人は僕らのスタイリストのAヌナ。ヌナ、こちらはここの店のマスターのヨンジュニヒョン」
私のツッコミもスルーして勝手に紹介を始める彼に合わせて慌てて頭を下げる
YJ「はは、あまりに可愛いからキュヒョンの彼女かと思ったよ…そうか、愛の逃避行を…」
「だから違いますってば!」
二人して私を見て大笑いしている…もう…
「さ、奥にどうぞ、すぐに温かいものでも持って行くから」
KH「ま、そんな格好で俺といるところ見られても困るんで奥行きましょう」
ふと自分が彼の大きなパーカーをフードまで被っているちんちくりんなことに気付いて深くフードを被り直した
スタイリストとか言える格好じゃないじゃん!!←
そんな私に気付いてかニヤっと笑ったキュヒョンの後を付いて店の奥へと導かれる
家に帰るっていう選択肢が出てこなかったのは、
オッパに出してもらったあのカクテルと、
雨の中を走り抜けたテンションと、
一人で居たくないってどこかで思っている私の心のせいだろうか…
程なくしてヨンジュンさんが温かい紅茶を出してくれて、2人でそれを飲んで温まる
「美味しい…」
KH「…」
鼻の奥まで広がるその香りに心が落ち着いて行く
KH「ヒョンたちが言うだけの事はあるな…」
「へ?」
KH「あ、なんでも…」
「?……あ、ねぇさっき廊下で見かけたんだけど…あれってワインセラーか何か?」
この部屋へ来る前に廊下に古びた感じの素敵な扉があって、小さなガラス窓からはワインがずらりと並んでいるのが見えた
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作者名:ルル | 作成日時:2015年8月13日 0時