ひとりにしないで

不思議 ページ28

「あ〜…うん、…うんうん」


「(笑)」


「？」


「さっきからマル、唸ってばっかり(笑)」


「え？そうだった？…なんだろ、美味しいからかな…」



そう言うと、おかわりしたばかりのパスタをまた頬張った

作り慣れているメニューなのに、人に作ってあげるのは初めてだからちょっと緊張した

そんな気持ちをひょいっとすくってくれるように、何度も「美味しい」って言ってくれる

「あー…オイシイデス」って、日本語まで(笑)



毎日メッセージでやり取りをしていたからなのか、

不思議とぎこちなさは無くって、「マル」と呼ぶのも自然に思えた

メッセージだけでは足りなかったのか、マルは海外であった面白いことをたくさん話してくれた

「聞いて聞いて！」って小さな子どもみたいで、ちょっと可愛いかな、なんて…



「あ…ごめん…」


「…え？」


「俺、自分の話ばっかり…いつも怒られるんだ、ヒョクに」


「えっと、ヒョクは同い年の友だちだっけ？」


「そう！俺よりしっかりしてるから…たまにちょっと比べられてるっていうか…たまにちょっとプレッシャーだけど…あ！でも格好いいんだよ！ダンスもめちゃくちゃうまくてさ！！」


「ダンスするの？その、ヒョクさん」


「そう！それが…あ…！！えっと…あれだよ、ダンスってその…趣味で！昔から踊るの好きなんだ…うん…」


「へぇ、ダンスなんて…踊れるだけで凄いね、私なんて運動神経悪いから絶対無理だろうな…いいね、ヒョクさん格好いいんだろうね」


「…Aまで」


「？…(笑)…それでさっきの話の続きは？最後まで聞かないと今日眠れない＾＾」


「…！うん、それでね…」



キュヒョンさんの時もそうだけど、

マルは自分より他の人が褒められるとちょっと気にするみたい(笑)

私はキュヒョンさんのこともよく知らないし、ヒョクさんにも会ったこともないのに



「それでね、」


「マル」


「へ？うん？」


「デザートも食べていく？友だち限定のチョコレートアイスがあるよ」


「…友だち限定」


「うん＾＾」


「＾＾」



不思議

なんだか、ずっと前から友だちだったみたい

そもそも友だちなんて、長い間いなかった私がこんな風に心地よく話せるなんて





温かいコーヒーに、ひんやりしたアイスクリームが美味しくて




「あ、A！また雪が降ってきた」


「本当だね、綺麗」


「うん…綺麗だね」




今夜はもうちょっとだけ…この友だちにそばにいて欲しいって

そう思った

良い夜　＊→←これからもここで ＊

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