まだ、何も知らないのに ページ18
「いや、大丈夫だから…」
「二人の方が早くおわるでしょ?」
「いいの、私の仕事なのにお客様にそんな…」
「寂しいなぁ」
「え?」
「今は友だちだろ?俺、困ってる友だちは放っておけないよ」
友だち…って……
「…まずこのエプロンしてください…」
「うん^^」
彼が何人兄弟なのかも、
年上なのかどうなのか、
どんな仕事をしているのか、
本当はなんて名前なのか…
まだ、何も知らない
「A、これはこう?」
「あ、違う違う;ああ…マルはこれを細かく切ってくれる?」
「う、うん;」
「…;」
「………;」
「…ごめん、やっぱりこれを混ぜてくれるかな;」
「うん;……あの…ひょっとして俺邪魔になってる;?」
なのに、
「ぷっ…顔についてる(笑)」
「え、うそ;」
「どうやったらこの短時間でそうなるの(笑)?」
「ええ;…うんと……わ、何これ美味しい!!」
うっかり信じて頼ってしまっているのは、
彼のこの子どもみたいな笑顔のせいだ
.
.
「ふぅ…何とか間に合いそう…」
「…」
こんなところで寝たら風邪をひくのに…
二階からブランケットを持ってきて、作業台に突っ伏した彼の肩にかける
きっと朝からお仕事だよね…
何時に起こしてあげたらいいんだろう…
開店の数時間前でいいかな…
…結局、ソースを作って生地の仕込み準備まで手伝ってくれた
楽しそうにやってくれたけど
“友だち” になって日も浅いっていうのに……
本当は何かまた辛いことでもあって、ここへ来たんじゃないかと今になって心配になる
「今度…何かお礼しなくちゃ…」
そこに突然鳴る着信音
私のでないということは、彼のもの…
「マル、携帯鳴ってる…」
「ん…」
まだ寝ぼけたままのような彼は近くにあったジャケットを探ると、その中からスマホを取り出してこちらに突き出した
「え…?あ、また鳴ってるけど…」
「出て…」
「え?出てって…」
また寝出した彼に、鳴り止まない着信音
表示名には、”キュヒョン” ……って、弟さんの名前だったよね?
「…もしもし」
『……もしもし?』
「あの、代理で出るように言われまして、」
『どなたですか?』
「えっと…私、haruというチョコレート専門店のものでして、こちらでお兄様が今寝ていて…」
『……はい?』
事情を説明すると、弟さんは何度も謝りながら、迎えに行くと言ってくれた
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ルル(プロフ) - はなさん» 見ていただけて嬉しいです!こちらこそありがとうございます!! (2022年4月13日 2時) (レス) id: 9ec4afd1ba (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 期待してのぞいたら更新されていて(;A;)嬉しいです!ありがとうございます! (2022年4月13日 0時) (レス) @page34 id: 3f48990b69 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - saya_*さん» あんにょん、お久しぶりです^^おかげさまでなんとか続けています!こちらもちょこちょこと書いていきますのでよろしくお願いします^^! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 5e07b07294 (このIDを非表示/違反報告)
saya_*(プロフ) - ルルさんあんにょん!お久しぶりです^^お元気ですか?新作ありがとうございます(*^^*)やっぱりドンヘだった!(ハート)ルルさんの優しい柔らかい雰囲気のお話大好きです♪続きもたのしみにしてますね^^ (2019年11月9日 6時) (レス) id: 2aa5de40a8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - manmaruuさん» こんにちは!嬉しいコメントをありがとうございます!!こちらもそろそろ更新しますね^^これからもよろしくお願いしますー! (2019年11月5日 10時) (レス) id: 84ad280061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルル | 作成日時:2019年10月26日 14時