愛される彼女１１ (ページ22)

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６４ ~守るから~ ページ22

サイン会は順調に進んでる

今日は安全面を考えて…とか言われて握手やハイタッチができない

それでも久しぶりに顔を見て会えたペンの子たちはとっても喜んでくれて、胸が熱くなった

目の前に来たこのサインを書いている時だった

「A！！！」

って、大きく私のことを呼ぶ声に、びっくりしてそちらを見ると…

「…離して！Aオンニに会いたかったんだから！！」

って、大きな声を出して騒いでいる女の子を、係員が数人で抑えてかかっていた

その子は、何度かサイン会に足を運んでくれるから覚えていた子で…

安心した…

「大丈夫、連れて行かないで？せっかく来てくれたから」

係員が抑えているけれど、サインを書いてその子に渡した

「今日も来てくれてありがとう、待たせてごめんね＾＾」

「オンニー…(泣)」

泣き出してしまった女の子を、係員が数人でそのまま連れて行ってしまった

他のスタッフたちも、何事かとそちらを見ていたから

私もホッとして、安心しすぎてたから

だから、

気付くのが少し遅くなったんだ

「オンニ、会えなくなるのは違うじゃないですか」

「！」

目の前に立った女の子は、見た事があって…

だって、サイン会にも何度か来てくれていたし、印象的だったから

いつもすっぽりと大きめのフードをかぶって、鞄にはその身体には重そうな大きなカメラが入っていたから

そして見えた表情は、いつも優しい瞳で私を見てくれていたから…

だけど、今日は…怒ってるの？悲しいの？

そんな表情だって思ったすぐ直後、

「あ…」

鞄から垂れていたカメラのショルダー部分に、赤い血のりがべったりと付いているのが見えた

どうして？なんで？と思う頃には、

キラリ、彼女の手に握られたそれが私に向けられていて、

気付いて慌てて止めようとするスタッフの声とか動きとか、そんなのをスローモーションで感じて、

ああ、そっか

もっと前に気付けてたのかもしれないのに

「…ごめんね」

「！…」

目が合って、私が出した一言はそんなものだった

"彼女は私のペンだったんだ"

それでも進むナイフの先に、

思わずぎゅっと目を閉じた

「「「A！！！！！」」」

私の名前を呼ぶ声がして、

そっと目を開ければ、

「え…なん、で……」

DH「俺がちゃんと、守るから」

いないはずのオッパが、その子の手をぐっと抑えてた