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この授業が終われば昼休み。
うちの高校はお昼ご飯はみんな持参。
校内にはなんにも売ってないから、母親には毎日のようにお弁当を作ってもらってる。
今朝お弁当を受け取る時、普段とは比にならないくらい感情を込めて"ありがとう"と言ったら変な目で見られた。
多分浮かれてるのバレてる。
ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ
あ、授業終わった。早く片付けないと。
『れんくん！』
早？！
「ごめん！ちょっと待って(笑)」
『全然急かしてるとかじゃないから！』
『どこで食べるのがいいかな〜って思って！』
「確かに、4階の美術室とかどうかな？」
「あの使われてない方の」
『あ〜なんかあるね！』
『私そこ行ったことないから行きたい！』
てことで、お弁当を持って美術室へ向かう。
旧美術室は文化部が定期的に使っているらしく、綺麗に掃除されていた。
窓際に丁度いい高さの台もあって、突然の場所選びは成功したみたい。
お腹空いたね〜って言いながら、手に持っているお弁当袋を広げるとなにかが落ちた。
赤い球体、なんだ？と思いながら拾うとチョコレートだった。
「今日なんかあったっけ」
あっ？！！
バレンタイン！？！！
もしかしてAちゃんが誘ってくれたのってそうゆう事？！
テンパりながらAちゃんの方を見てみると、頬を紅くしてアワアワしてる。
『待って！私まだ心の準備できてない！』
『蓮くん一旦お弁当食べて！！』
戸惑いすぎて何も言えずにお弁当を食べ始める。
全然味が分からない。
お互い無言、だからといって苦なわけじゃない、そんな変な時間が続いた。
『えっと、蓮くんこれ...』
すごく丁寧に結ばれたリボンを纏った白い箱。
「もらっていいん？」
『うん』
『友達用でも義理チョコでもないよ』
『私ね「待って」』
自意識過剰の可能性もある。いや無い？
分からないけど、絶対僕が言うべきなのは分かる。
「遮ってごめん。でも僕から言わせてほしい」
うん、と言った君は見たこともないくらい嬉しそうな顔をしていて、緊張が少し解けた。
「好きです。付き合ってください」
普通すぎるこの言葉以外思い浮かばなかった。
でも、ニコニコ笑ってる君を見ればそんなの気にならない。
『私でよかったらお願いします！』
抱き締めたい、そう思ったら勝手に体が動く。
「わっ！」
少し触れたら、君の全てを任された。
『これからよろしくね！』
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作者名：桜桃 | 作成日時：2023年10月21日 14時
