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淋しさをかき乱すようなピアノの音色。
歌詞があまりにも心に刺さる。
視界が潤んできてチャンネルを変えた。
赤信号になったと同時に俺の左手を取った君。
『景瑚泣き虫だもんね〜(笑)』
「泣いてないわ！」
顔を覗けば、全て見透かしたかのように笑っていた。
『いつだっけ？爆笑しながら泣いてたの』
「去年の誕生日だけどさ！掘り起こさなくていいから(笑)」
しょうもない思い出話をする。
正直、もうこんな事もできないと思ってたから、すっごく嬉しかった。
海風を少し浴びてから、俺の家に帰ってきた。
数分前に眠りに落ちたAをお姫様抱っこして部屋に入る。
あまりの軽さに心を抉られたけど、意識のないまま握られた自分の手首を見れば少しは安心できた。
Aのお母さんと連絡を取りながら、Aとの特別な時間を過ごした。
『ほんと何から何までありがと』
「ううん、もっともっと頼っていいんだからね！」
『じゃあまたなんかお願いするね(笑)』
君の目が優しく笑うもんだから、｢任しとけ！｣ って言ったけど、君からのお願いなんてまだひとつも聞いてないよ。
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なんでAの状態について、深く知らないのか。
それは俺が弱いから。
そんな俺でも数日前に腹を括ってAのご両親に尋ねた。
「私達からは何も言えないわ、ごめんね」
「景瑚くんがAの事を大切に思ってくれているように、Aも景瑚くんの事をすごく大切に思っているの。」
「きっと沢山考えた上で景瑚くんとの時間を過ごしているはず」
「だから私達にその邪魔はできない」
震えた声で伝えてくれた。
その翌日、Aにも遠回しに尋ねた。
色々言葉を並べてくれたけど、きっとその8割はウソ。
バカな俺でも分かる。
だけどバカを演じたんだ。
次の外泊許可が下りるまではすごく早かった。
祝日に合わせてもらったから、長い時間一緒に過ごせる。
「Aおはよー！」
『おはよう、テンション高すぎ(笑)』
「だって明日までずっと一緒にいられるんだよ？」
借りてきた車に乗る。
駐車場もちゃんと予約してきたから準備はバッチリ。
『景瑚の運転ちょっと怖いんだけど』
「ええ！仕事でしょっちゅう乗ってるし安全運転するから！」
『ははっ、確かにハンドル握ってるの様になってる(笑)』
笑う君が隣にいる。
嬉し過ぎて自分に少しだけ嘘をついた。
淋しさをかき乱すようなピアノの音色。
歌詞があまりにも心に刺さる。
視界が潤んできてチャンネルを変えた。
赤信号になったと同時に俺の左手を取った君。
『景瑚泣き虫だもんね〜(笑)』
「泣いてないわ！」
顔を覗けば、全て見透かしたかのように笑っていた。
『いつだっけ？爆笑しながら泣いてたの』
「去年の誕生日だけどさ！掘り起こさなくていいから(笑)」
しょうもない思い出話をする。
正直、もうこんな事もできないと思ってたから、すっごく嬉しかった。
海風を少し浴びてから、俺の家に帰ってきた。
数分前に眠りに落ちたAをお姫様抱っこして部屋に入る。
あまりの軽さに心を抉られたけど、意識のないまま握られた自分の手首を見れば少しは安心できた。
Aのお母さんと連絡を取りながら、Aとの特別な時間を過ごした。
『ほんと何から何までありがと』
「ううん、もっともっと頼っていいんだからね！」
『じゃあまたなんかお願いするね(笑)』
君の目が優しく笑うもんだから、｢任しとけ！｣ って言ったけど、君からのお願いなんてまだひとつも聞いてないよ。
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作者名：桜桃 | 作成日時：2023年10月21日 14時
