役者 - junki ページ3
-his side-
夜遅くまで続いた練習。
景瑚「ああーー！マジで疲れた！」
メンバー5人は1台目の送迎車に乗って帰って行った。
2台目が渋滞に巻き込まれてしまったらしく、中々来ないので残された組は練習場でそれぞれ休んでる。
ラスト1口分残っていたペットボトルの水を飲もうと口に含んだ。
「！！」
ｺﾞﾎｯ ｺﾞﾎｯ ｺﾞﾎｯ
汐恩「何してんすか純喜くnあっ、wwwwww」
右からも左からも押し殺したような笑い声が聞こえるが、それどころでは無い。
俺が水を飲もうとした瞬間に景瑚の手によって付けられた練習場のテレビ。
そこに映ったのは男女のキスシーン。
一人は最近よく見る若手イケメン俳優。
もう一人が、
俺の彼女。
蓮「うわ、長(笑)」
祥生「純喜くん顔やばいwww」
「...マジかよ」
豆なんてガキみたいな顔して、未だにイチャついてるシーンが流れてるテレビと俺を交互に見てる。
こっちは真剣にダメージ受けていると言うのに。
蓮「Aちゃんから聞いてなかったん？笑」
「...キスシーン撮ったってのは言ってたっすけど」
蓮「こんなちゃんとしたやつだったとは聞いてなかったと」
さっきの映像が頭にこびり付いて離れへん。
「最悪や」
斜め前を見れば、笑い転げてる景瑚。
しれっと音量上げたの気づいてるからな。
別にAのキスシーンは何度か見たことある。
でもあれは次元が違う。違いすぎる。
今までそうゆうのが無かった理由は、なんとなく分かってる。
Aは俺と同い歳なのに制服がばっちり似合う。
それも、あと5年はいけるくらいに。
だからキスシーンと言えど、小学生に見せても大丈夫なレベルのものしかなかった。
なんで突然アホみたいに長いキスするんや。
あかん、思い出すと気持ち悪なってくるわ。
汐恩「車着いたみたいっす」
日付変わってるのに今から会いに行くのは流石に迷惑よな。
俺の脳内、100%どころじゃないくらいAで埋め尽くされてんのに。
玄関の鍵を回すと同時にスマホが揺れた。
Aから"おやすみ"の一言。
高速で指を動かしてAの声を求める。
『もしもし？どうしたの？』
「今家？」
『そうだけど、』
「行っていい？」
『え、今から？』
「うん、てか行く」
挿したままの鍵を逆方向に回す。
タクシーで行こうかと思ったけど、走った方が早い気がした。
Aまであと2km______
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作者名：桜桃 | 作成日時：2023年10月21日 14時
