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-your side-
「え！A先生も行くんですか？！」
『そう、人手不足みたいで』
「やば、めっちゃ楽しみになりました！」
『私関係なく楽しみにしなよ…笑』
1年の頃からよく顔を見せに来てくれる翔也くんもあっという間に3年生になった。
最近は単語帳を片手に「ここ集中できるんで」と言い、毎日のように保健室にやってくる。
「一緒に回れたりしないですか？！」
『修学旅行なんだからお友達と回ってください』
「ですよね〜」
昨日上から突然告げられた修学旅行の引率。
社会人3年目の私にとって、この代の子達には思い入れがあるから結構楽しみだけどね。
＊
ふぅ… 疲れた
昼間は怪我とアレルギーの対応でずっとバタバタで休む暇も無く夜になった。
せっかくだから沖縄の空気を吸っておこうとホテルの敷地にある庭みたいな場所でひと休憩する。
ちょうどいい気温と緩やかな風が気持ち良い
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
「あ、A先生」
聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、後ろを振り向く。
私の背後は一面客室のベランダだからどの部屋なのか全然分からない。
そもそも暗くてよく見えない。
「そっち行っていいですか、てか行きます」
『はい？』
声の主は分かっているけど、言っている意味が分からなくてポカンとする。
消灯時間過ぎてるから見張りもいるし、一体どうゆう意味なのか。
「何してたんですか？」
まさか、1階のベランダを跨いでこちらへ来るとは思わなかった。
ていうかなぜ来た？
『だめだよ、戻らなきゃ』
「ちょっとだけ許してください」
捨てられたウサギのような目で見つめられたら強く言い返せないじゃない。
用件くらい聞いてあげようと思っちゃう私も私だ。
『なんかあった？少しなら聞くから早く戻りな？』
いつも食い気味で会話する翔也くんが俯いて何も言わないから、心配になって顔を覗く。
『だいじょ......んっ、！』
彼の唇で自分の唇を塞がれていると理解するのに時間が掛かった。
『っ、ちょっと』
「...ごめんなさい、でも」
「好きなんです。A先生のことが」
「もう卒業まで迷惑になることしないので卒業したらちゃんと告白させてください」
「無理やりしてごめんなさい。おやすみなさい」
急ぎ足で去っていく彼の後ろ姿を呆然と眺めることしかできなかった。
続く
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作者名：桜桃 | 作成日時：2023年10月21日 14時
