遥かな夢は【短編集】 (ページ15)

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運命って信じているよ - shosei ページ15

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-his side-

もう少しで受験生になってしまう俺達

どこに行きたい訳でも、なにを見たい訳でも無いけど一緒の時間を過ごしたくて今暇？と連絡してみた。

『どうしたん急に』

「別に。夜の公園でも行かへん？」

『いいけど』

「上着暖かいやつにしてや」

歩き始めたらAの手を取って自分のポケットにつっこむ。離れへんように。

『受験生になったらこうやってゆっくりできへんくなるかな？』

Aも俺と同じことを考えていたみたいでにやけそうになる

「せやな、でも俺の気持ちは変わらんからずっと一緒におってな」

『はは、改めて言われると照れる』

少し紅く染まったほっぺたを両手で挟む

ほんまに天使みたい

もし、あの日の雨が止んでいたなら

いつも通りの時間にバスが来ていたなら

Aとは出会うことがなかったはず。

あの瞬間が少しでもずれていたら、違う運命を辿ってしまっていた。

こうやってAと二人で時間を過ごせるようになるまでに起こった偶然にとても感謝している。

『めっちゃ星見えるよ！』

『あれってもしかしてペテルギウス？』

「ほんまや！三角結べるやん」

『すご！冬の大三角できた！』

この日常が"楽しかった過去"にならないように君と同じ未来をずっと一緒に見ていたい

明日でも明後日でも数年後でもいいから、あの星をこの場所で君と二人もう一度見たい

『私もこれからも祥生といたいから乗り越えようね』

「うん」

『第一志望合格したらお金貯めて旅行行きたい』

「うわめっちゃええやん。どこ行く？」

『海外もいいけどまず沖縄行きたいかも。行ったことないし』

想像するだけで楽しいしワクワクする

何よりAが描く未来に俺がいることが堪らなく嬉しい

「そろ」『そろそろ』

「ハモった笑」

『はは、なんて言おうとした？』

「そろそろ帰ろか寒いし」

『同じ笑』

「じゃあ帰るか笑」

『そうだね』

涙の日も晴れの日も二人で同じ道をいつまでも手を繋いで歩けますように

♩ if / 西野カナ

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