遥かな夢は【短編集】 (ページ14)

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壁 - sho ページ14

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-your side-

あと4年、いや2年でいいから、早く生まれたかった

そんなバカげた事を私に考えさせるのはこの家の主

従兄弟の奨くん

お父さんのお姉さんの子供で、歳は私の6個上の22歳

そして、私の初恋相手

昔話みたいに言ってるけど全然現在進行形

奨くんのお家にお邪魔してる理由は、お父さんがしばらく海外出張でしばらく家を空けるから

もう高校生なのに心配症なお父さんには私を一人で置いてく選択肢は無かったらしい

だから比較的近くにある奨くんの一人暮らしの家に泊まらせてもらうことになった

「なに難しい顔してるの」

『してないよ』

「ほんと？困ってる事とかない？」

『んー、ない』

「あ、嘘ついてる時の顔」

『...あって無いようなもんだし』

「そうなの？」

『うん、諦めるしかないから』

「そっか、諦めが必要な時もあるか...」

「でも後々後悔するぐらいなら最後に何か動いてみてもいいんじゃない？」

あなたのことですよって言いたくなる

絶対言えないけど

『うーん、それはできないかな』

「難しいか...」

「今はさ、その事で頭がいっぱいかもしれないけど、一年後には全部忘れてるかもしれないじゃん？」

「だから他のことしてみたり、ちょっとその悩みから逃げてみてもいいかもよ？」

どうだろ、一年後忘れてるかな

好きって気づいてから、もう三年はこの気持ち忘れられてないけど

『...そうだね』

「ちなみにそれって学校のこと？」

『ううん、違う』

「あっそうなの、高校はどう？」

『楽しいよ、良い友達できたし』

「よかったじゃん！」

「高校でできた友達って結構一生モノだよ？」

話を逸らしてテンションを上げてくれる奨くんは本当に優しいと思う

でもそのお兄ちゃんみたいな優しさがもどかしくて、誰にも吐くことが出来ないこの感情を持ち続けることがしんどくて、涙が出てきた

「大丈夫？」と優しい声を放って抱き締めてくれる奨くんがどうしようもなく好きで苦しい

「大丈夫だよ、俺はAちゃんの味方だから」

もしこれが戦いなら奨くんは敵になっちゃうよ

そんなことを思ってまた奨くんの胸の中で泣き続ける

こうやって自分をコントロール出来ないのが子供なんだよね

ねぇ、私が好きな人に好きって言えるようになるのはいつ？

誰か教えてよ

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