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-your side-
瑠姫くんと出会ったのは1年くらい前。
ひとりで行くことができる場所が限られてる私の行きつけのカフェで出会った。
そこのオーナーさんの息子さんも目が見えないみたいで、色々お話できるし、居心地が良くて学校終わりとかによく行っていた。
ある日、いつものように少し重いカフェの扉を開けた。
その瞬間に聞こえたのは、
いらっしゃいませ、と聞き慣れた言葉。
その声の主は、
ハキハキした凄く聞き取りやすい声のオーナーさんでもなく、
イントネーションが独特なオーナーさんの奥さんでもなく、
早口で少し高い声の高校生のバイトの子でもなかった。
ここに来る時はいつも気が緩んでるから、必要以上にびっくりした。
「ご注文はお決まりでしょうか？」
私の耳からかなり近い距離で放たれたその声。
普段なら自分から距離を取ろうとするくらいの音だったけれど、何故かその時はそうならなかった。
顔が熱くなった気がして、元々はキャラメルラテを頼もうと思っていたけど、急遽アイスバニララテに変えた。
「お待たせしました、アイスバニララテです。」
お礼の言葉と一緒に小さくお辞儀をする。
店内はすごく静かだから緊張するなぁと思っていた時、
「良かったら話しませんか？」
「他にお客さんいないですし、」
驚いたけど、声と話し方以外にも名前くらいは知りたいなと思っていたから、この言葉は凄く嬉しかった。
名前を聞けば、るきって名前だけじゃなく、瑠璃色の説明をしてくれたり、男なのに姫が付いてるって少し拗ねたような声色で言っていたり。
私の名前を伝えたら可愛い名前だねと言い、
「Aちゃん」
と意味も無く名前を呼ばれた。
後々聞いたら、この時私は顔が真っ赤になっていたらしい。
顔が赤くなる感覚なんて知らなかったし、今考えると相当恥ずかしい。
流石に付き合って半年以上も経てば、名前を呼ばれただけで顔が赤くなることはないけれど、
「A？隣来て」
大好きなその声が私の名前を呼ぶと、とても幸せな気持ちになる。
『瑠姫くん、これからもいっぱい名前呼んでね』
どんな返事がくるかな。
「ん？Aの？」
『うん』
「分かった」
「愛してるよ、A」
ドキッとした次の瞬間は、彼の唇が触れた気がした。
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作者名：桜桃 | 作成日時：2023年10月21日 14時
