戻れるのなら戻りたい (ページ46)

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何秒、何分経ったのか分からない

自分の考えも分からなければ、何を言えばいいのかも分からない

『えっと』

「ごめんな、困らせて」

スカイくんのことは好き

出会った時からずっと恋愛的な意味で。

でも当たり前に告白をしようとしたこともない
付き合うだなんて考えたこともない

私ももう子供じゃない

スカイくんだって仕事もしている

アイドル

スカイくんはアイドルだ

簡単に出せる答えじゃない

『もう少し考えさせてほしい』

私の出した答えは保留

言い換えてしまえば、先延ばし

結局は付き合うか付き合わないか

この二択なのは分かってる。

だけど、その二択を決める自信も伝える勇気も無い

「Aちゃんは俺のこと好き？」

彼は突然こんなことを言う

「好きなら付き合って欲しいし、そうじゃないなら振って欲しい」

「俺はそう思ってる」

「どんだけでも待つしゆっくり考えてくれていいけど、考えすぎないでほしい」

絞り出た言葉は「分かった」と「ありがとう」

「身体冷えたやろ、ごめんな」

「駅まで一緒に行こ」

立ち上がったスカイくんの背中に黙って着いていく。

「今日、来てくれてほんまにありがとう」

「めっちゃ楽しかった」

『こちらこそ、ありがとう』

「また会おう」

軽々と頷いてしまいそうになる。

「...じゃあ」

揺れるピアスが冷たく首元に触れた。