(292)あなた ページ42
翌日の仕事は全てキャンセルに。
外は取材陣で大騒ぎになっているため
家から一歩も出ることはできなかった。
夕方、少し昼寝をして目をさますと
リビングの方からお兄ちゃんの声が聞こえてきた。
重岡「なんでダメなん？」
母「なんでって。考えたら分かるやろ？」
重岡
「妹ちゃうやん？血繋がってないねんで？
おかんとおとんが紗奈を引き取ったから
一緒に暮らして来たけど
別々に住んでたら赤の他人やったわけやし」
父「引き取ったんちゃう」
重岡「…何言われても俺は本気やから」
母「待ちなさい大毅」
中に入れる雰囲気では無く
廊下で話を聞いていると
足音がドアの方へ近づき
お兄ちゃんが廊下に出てきた。
重岡「…紗奈」
紗奈「…お兄ちゃん」
リビングを覗くとお母さんが
ダイニングテーブルに肘をつき
顔を手で覆い泣いている。
お父さんも憔悴しきった顔でこっちを見ていて
重苦しい空気が漂っていた。
父
「…ちょうどいい。
紗奈もこっちに来て座りなさい」
お兄ちゃんと2人で椅子に腰を下ろすと
お父さんは私にお兄ちゃんのことを
どう思っているのか聞いてきた。
父「紗奈は大毅のこと、どう思ってるん？」
哀しそうな顔で私を見ているお父さん。
その横でお母さんは俯きながら泣いている。
2人が今、
どんな思いでいるのか考えると…
今の自分の気持ちを
正直に言うことは出来なかった。
紗奈
「うちは…お兄ちゃんのこと
兄妹以上に思ったこと一度もない」
母「…そうなん？」
紗奈
「当たり前やん！
お兄ちゃんのことは好きやけど、
それはお兄ちゃんとしてであって…
私、別に好きな人居るし！」
大毅「…本気で言ってるん？」
紗奈
「お兄ちゃんにも言うたやろ？
のんちゃんと付き合うてるって」
母「のんちゃんって…小瀧くん？」
紗奈「うん！」
母「そうなん？…お母さん聴いてないで？」
紗奈
「言いそびれててん！ほんまに、
この雑誌に書いてるみたいなことは一切ないから！
安心して？」
自分の感情なんかどうだっていい…
お母さんとお父さんに心配をかけたくない。
悲しませたくない。
ひとりぼっちだった私を引き取り
ここまで育ててくれた命の恩人だから。
兄に恋をしたなんて…
口が裂けても言えない。
いや、言うべきじゃないんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 536人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーちゃ(プロフ) - 話的に面白くて、次の展開めっちゃ気になります！これからも更新頑張ってください！！！ (2015年9月1日 23時) (
レス) id: bb8208bab9 (このIDを非表示/違反報告)
あいりんこ - 更新頑張って下さい！応援してます♪ (2015年8月16日 20時) (レス) id: 4d8f595ae5 (このIDを非表示/違反報告)
コキン(プロフ) - 楽しみにしています!!お前は俺のもの。もスランプ抜けして更新できるよーにと応援してます(^^ゞ (2015年8月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 4f5faea788 (このIDを非表示/違反報告)
あいりんこ - 更新、遅すぎる (2015年8月4日 22時) (レス) id: 4d8f595ae5 (このIDを非表示/違反報告)
コキン(プロフ) - 更新しないんですか？ (2015年8月2日 12時) (携帯から) (レス) id: 4f5faea788 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2015年6月2日 16時
