大人になった子ライオンと社会人になったナイスガイの話Ⅱ (ページ8)

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《sgi vs izw》呵々大笑ページ8

　悪事を働いた後の大型犬みたいな下がり眉の須貝を凝視しつつ、歴代ワーストにランクイン間違いなしの悪い笑顔を浮かべる伊沢。
「いやー須貝さん、へーそうなんだ。へー！いやそうなんだへええええ」
「言いたいことがあるなら簡潔に言えや」
「いやーそうなんだ、へーいやいやいやいや」
　気が済むまで悪い顔をした後で、伊沢は急に真顔になる。
「そっかー。うん、良かったすね」
「……うん」
　唐突な祝福？の言葉を、とりあえず素直に受け取る須貝。
「須貝さん最近めちゃめちゃクイズ強くなりましたたもんね」
「それはまあ、俺だし」
「人当たりが柔らかくなって、随分穏やかになったし」
「……そうか？」
「山本もね、ここのところ随分度胸がついてきたというか、堂々としてきたなあって」
「そりゃYouTuber何年もやってるし」
「割と変化が急だったから、二人ともいい人見つけたのかなあって巷の噂だったけど。へえなるほどねえ」
「いやそこに因果関係はないやろが」
「確かに証明は難しい。僕らには、ね」
「うっさいわもー！頼むから誰にも言わんといて！」
「それは勿論。最重要機密ですもんね」
　そこでまた、伊沢はにやりと笑う。それを見た須貝、今更ながら重要なことに気づく。
「……もしかして俺、上司にすげえ弱みを握られた？」
「さあ？それはどうでしょうねえ……ひひひひあー楽しい！やったー！！」
　人生最大の隙を突かれて、呆然と退場していく須貝の丸まった背中を見送りながら、伊沢は少年のように大らかに笑った。
　
　
　
　
　