１７８話自己暗示３ ページ9
Aside
カステーロとして自己暗示をかけていた時は、あまり自分の記憶はない。
だけど、フィディオに自己暗示を解いてくれた瞬間一気に蘇った。
とはいえ解けているのは少しの間だけだったけど……影山東吾のサッカーを、共に見ていたのは覚えている。
そして確信した。父さんは影山東吾のサッカーをいつも考えていたことを。
「貴様らなどに、私の背負った闇の深さなど分かるものか！」
「あなたは東吾のサッカーを、そしてサッカーそのものを愛していた！」
「やめろ！」
「あなたの中にあるのは、俺たちと同じサッカーを愛する者の魂だ。
サッカーを愛するからこそ、作り上げられた必殺タクティクスだったのです！！」
父さんと共にいて分かった……父さんの闇を、憎んでいたサッカーを。
それを私は救いたかったんだ。
「私は悲しく、そして悔しかったのだ。
あの光に満ちたサッカーをもう2度と見られなくなったことが……。
求めていたからこそ、2度と手に入らなくなった光を憎む。
闇の中を生きるしかなかったのだと……。
だがそのことに彼らが気付かせてくれた。
デモーニオ、そしてフィディオ……カステーロ……お前たちが……！」
父さんが気付いてくれてよかった。
ようやく……これで本当のサッカーができる。
父さんの頭の上の光が……黒かった光が、白く輝いていく。
そして明るく照らされて、場所はコンドルスタジアムに戻った。
大歓声が耳に入って来る。
「……黙っていてごめん。私父さんのこと本当に大好き。
だけど同時にサッカーも、仲間も大好きだから……」
だから、こういう方法を取るしかなかったんだ。
イナズマジャパンと共にではなく、父さんの懐に入って闇を知りたかったんだ。
「カステーロ……いや、A。ありがとう」
「父さん……！」
やっと、私の名前を呼んでくれた。
それが本当にたまらなく嬉しい。
ふっと、父さんは私に笑みをこぼす。
「分かってはいた。お前が、親離れをするときを」
「ふふ……子離れもしないといけないんよ？
……さあ、ここからは楽しいサッカーをしよう！」
イナズマジャパンに本気で戦えるこの空間も出来たし……！！
楽しくなってきた〜！！
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