２１４話さっぱりショートカット ページ45
当たり前だけどみんなの前では恥ずかしいから、パーティーが終わってから切ってもらうことになった。
空き部屋に飛鷹と私、二人きりになる。
「本当に……いいんだな」
「うん！円堂が任せたのなら、大丈夫な〜」
「……分かった。いくぞ」
飛鷹の生唾を飲んだ音がしてチョキ、とハサミを入れられる。
そのまま無言で私の金髪が落ちていくのを、ただ眺めているのもな……と思っていると、飛鷹の方から話しかけてきた。
「Aさんのこと……」
「Aでいいよ」
「……Aのこと、随分と仲間は心配そうにしていた」
「あーはは、やっぱり？……嬉しいなぁ」
「凄い奴だ、優しい奴だって話していて……会ってみたかった。
実際、凄く強くて優しすぎるくらいで驚いたが」
「そ、そんなに言われると照れるな〜」
「動くなよ」
「はい！」
うぅ、顔に熱が集中するくらい恥ずかしいけど、飛鷹が集中しているんだから刺激しないようにしなきゃ……。
前髪も整えてくれるらしく、目を瞑る。
しばらくすると髪を優しく整えられ、ハサミを置いた音がした。
ゆっくりと私は目を開けて、飛鷹に手鏡を渡される。
「……出来たぞ。どうだ？」
「！……すごいじゃん飛鷹！」
乱雑だった私の後ろ髪はショートヘアーに整えられて、横の毛もすっきりしている。
前髪も少し短くなって、視界も良好になった。
「手先めっちゃ器用なんだね！任せてよかったよ！」
「いや……その……うっす」
「終わったか？」
部屋に修也が入ってきた。
私の髪型を見て目を見開くが、嬉しそうに細める。
「いいじゃないか。ありがとう飛鷹」
「えへへ、飛鷹ってすごい奴なのな！みんなに自慢してくる！」
「ちょ、A！」
飛鷹の止める声が聞こえるけど私は廊下を飛び出してみんなのところに自慢しに行った。
だって、嬉しいんだもん！！
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