２１０話煮え切らない想い２ ページ41
私は久しぶりに空を見上げた。
「う〜ん！いい天気……の、はずなんだけど」
病院から見上げる空ではなく、ちゃんと地に足をつけたのは何日振りか。
と言っても最速での仮退院ではあるから、明日には病院に戻ってしまう。
病院を出る前に、フィディオたちに連絡を入れていた。
──「今日はイナズマジャパンの方に顔を出すよ。
本退院の件だけど、お医者さんは決勝トーナメント一回戦に出れるか分かんないって言ってた。
でも必ず……」
『……カステーロ、その件なんだけど』
フィディオは電話で私の選手記録がFFI運営の公式ページから消えていることを教えてくれた。
運営にも連絡を入れたが、そもそも選手記録を抹消されているらしく、今後の試合は出れないという。
「そんな……！」
『カステーロとしての記録だから、竜城Aとして出れるかはまだ調べていないけど……。
それでも、何か裏で動いているみたいだ。引き続き調査してみるよ』
「いや、大丈夫だよフィディオ。
フィディオたちはリトルギガントとの試合に集中して。
私のことは私でなんとかするから。
試合に出れなくて残念だけど、応援には必ず行くな」
『でも……いや、分かったよ』──
そう会話して電話を切ったのが少し前。
だから清々しい気分ってわけじゃない。
確かに父さんの動きで女性でありながらも試合に出れてはいた。
それが一夜にしてなくなっている……絶対に父さんよりも上の立場の人間……ガルシルドが動いたに違いない。
不安を抱えながらも私は日本の宿舎へ向かった。
ドキドキと心臓が早く動いている。
入り口に入っても誰もいない。今の時間帯はお昼頃だから、食堂にいるのかな。
食堂の方に目をやると、いろんな人のキラキラがあった。
まったく、ちょっと前にそっちに向かうから出迎えてほしいって連絡を入れたと思うのに、飯の方が優先か。
そう思いながら扉を開けると、突然パンパン！と破裂音が聞こえた。
そして、私の前にパラパラと金色の紙吹雪とテープが舞う。
「「A、おかえり〜！」」
「！……みんなただいま！！」
サプライズってのは、読めなかったな！
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