２０３話両親 ページ34
「……あなたには話しておこうかしら。
実は、円堂大介さんの死について調べていたんだけど」
「円堂のじいさんの……」
「ええ。円堂くんたちには、まだ内緒にしていてね」
「分かったよ。……それで？」
「……その時に、影山についても色々調べてて……。
申し訳ないけれど、あなたのことも調べさせてもらったわ」
なるほどね。私がキーマン……キーウーマンかな？重要人物になると。
大介さんは父さんに嵌められ40年前事故にあって死んだ……ということになっている。
「影山から大介さんのこと、聞いていないかしら」
「う〜ん……当時はまだ小さかったし……大人の詳しい事情は分からなかったけど……」
私は過去に聞いたことのある父さんの悪事……というか、関連していそうなことをあげた。
正直うろ覚えだから、申し訳ないけど。
「ありがとう……あ、そうそう。
あなたの両親にも訪ねさせてもらったわ」
「え！沖縄まで行ったの！？」
「えぇ……」
夏美は、沖縄で私の両親との会話を聞かせてくれた。
・
夏美side
影山の娘である、竜城A。
彼女は私のチームメイトであり、よく相談にも乗ってもらった。
……主に、恋の。
あんなに明るい彼女を引き取った父親が影山零治……彼女を利用してたとも記憶している。
その後に影山から引き取った竜城家にも何か事情があるのではと思って、私は沖縄へ向かった。
前回来た時は仲間たちと一緒だったけど、今日は一人。
朝早い便で私は竜城家へと向かった。
海が見える、どこか懐かしいと感じる家だった。
「ごめんください」
「はーい！えっと……どちらさま？」
「わたくし、雷門夏美といいます。Aさんの……チームメイトです」
「！Aの……」
一瞬目を大きく見開いて、Aさんのお母様は不安げな表情を浮かべた。
「すみません、あの子は今いなくて……」
「知っています。今回は……あなた方にお話をお伺いに来たのです」
「私たちに……？」
「影山について、何か知っていませんか」
そう問うと、拳をぎゅっと握りしめ「分かりました」と決意をした言葉を口にするAさんのお母様。
「中に夫もいます。そこで……お話させてください。
それに、チームメイトからのAがどう見えているのか、気になりますしね」
そう笑うお母様は、Aさんにそっくりだった。
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