２００話イタリア留学 ページ31
「カステーロ！」
「フィディオ！！」
大きな花束を持ってやってきたのは、フィディオだった。
その後ろにも、キラキラが見える。
「そこにいるのは……」
「や、やぁ、カステーロ……」
髪を降ろしたドレッドヘアー。この声はデモーニオだ。
「デモーニオ！久しぶり、目の調子は……！」
「だ、大丈夫だ……」
デモーニオはドギマギしている。
あ、そっか……デモーニオが知っているのはカステーロとしての無慈悲な時の私だ。
急にこんな調子じゃ、びっくりするのも無理ないか。
「イナズマジャパンとオルフェウスとの試合、チームKのみんなで見ていたよ……。
君のサッカー、見させてもらった」
「あはは、ありがとう。これが本当の私、かな。
改めて、私は竜城A。よろしくね、デモーニオ・ストラーダ」
「あぁ……！」
私とデモーニオは固い握手をした。
すると彼は咳払いをして申し訳なさそうにする。
「その……君が女の子だとは思っていなくて……すまない」
「え！あぁ、別に……いいよ。言葉も乱暴だったし、髪も短いし……」
それに、あんまり胸ないし。
「今更のことだし！今度は私と本気のサッカーを一緒にやろうな！」
「もちろんだ！」
「俺も混ぜてくれよ、デモーニオ」
「当たり前だろ！」
よかった、デモーニオはフィディオと和解できたようで……。
「そうだフィディオ、私のせいでその傷……」
「あぁ、気にしなくていいよ」
フィディオの頬には大きな絆創膏が貼られていた。
私が父さんの元へ向かおうとして抗ってしまったが故に、イタリアのストライカーに傷をつけてしまった。
「明日には傷はないよ。……影山監督のことは、本当に残念だった」
「あぁ、俺たちもニュースで知ったよ。あの人のサッカーは本物だった。
プログラムの一環だったとしても……俺を極限まで高めてくれたことに、変わりはない」
「……そうだね」
私たちは父さんからいろんなことを学んだ。
彼が私たちに残したものは本当に大きな経験と実力。
世界の頂点へ目指せるサッカーを教えてくれた。
「そうだ、君に話したいことがあるんだ」
「話？」
しんみりした空気を打ち破るようにフィディオが私に話しかける。
「このFFIが終わったらイタリア留学しに来ないか？」
「りゅ、留学！？」
凄く大きな話来たんだけどな！？
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