１７３話カテナチオカウンター３ ページ4
オルフェウスはバラバラだ。
みんな自分が点を取り戻さないといけないと必死になって、自分自身のサッカーができていない。
イナズマジャパンからカウンターされノーマークの豪炎寺にパスが渡ってしまった。
間に合わない……！誰もがそう思った時、光の速さで誰かがボールを取った。
前線まで上がっていたはずのカステーロが、ボールを奪ったのだ。
そのままボールをクリアし、外に出す。
「危なかったな、ブラージ！」
「あいつの助けなんて無くったって……」
「！……みんな聞いてくれ！
俺たちのやってきたサッカーをすれば、悔いのない試合ができるだろう。
でも、それでは今のイナズマジャパンには勝てない！
けれどあの人のサッカーなら、カテナチオカウンターを完成させることができれば必ず勝てる！
そのためにはみんなの力が必要なんだ！」
「どうしてそこまであいつに肩入れをする！」
「そうだ、あいつにされたことを忘れたのか！」
「忘れてはいない！あの人は自分が犯した罪をきちんと償うべきだと思っている！
でもあの人の考えているサッカーは、もしかしたら俺たちを次の次元に導いてくれるかもしれない……
そんな予感がするんだ！」
ミスターKが生み出した必殺タクティクス。
あれを完成させるためには、俺たちにもさらに高度なプレイが要求される。
無茶だとしても、俺は懇願する。
「頼む！我儘だと分かっている……でも5分だけ俺にくれ！
イナズマジャパンに勝つため、そして世界の頂点に立つために！」
ブラージを説得すると、彼は折れてくれた。
「相手のスローインだ、フィディオ……みんなにディフェンスの指示を！
お前に頭を下げられれば、誰も断ることなどできない。
キャプテンはお前だからな！
5分だ、5分だけはお前を信じる。いいな、みんな！」
「！……ありがとう！」
大丈夫だ、俺たちなら！
ボールを止めたカステーロに俺は肩に手を置く。
「カステーロ、中盤を任せたぞ！」
「……」
カステーロの素早さとコントロール力があれば、カテナチオカウンターはさらに完成に近づくだろう。
大丈夫だ……オルフェウスなら！
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