１９９話始めたきっかけ７ ページ30
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「私っ……！あなたに酷いことをした……！ごめんなさい、ごめんなさいっ……！」
私は涙を流して冬花に縋りつく。
許されると思っていない。だって私のせいで小野さんは……冬花のお父さんは死んだんだ。
冬花は首を振って、私の目を真っすぐ見る。
「ううん。結局影山さんはお父さんが革命を起こしているのを知りながら置いておいた。
だから悲しいけどいずれこうなっていたかもしれない……。
でもAちゃんは酷いことなんて一度もしていないでしょ？
ママのご飯を美味しいって食べてくれて、私とお喋りしてくれた。
パパと一緒に、サッカーをしてくれた」
「ふゆっぺ……」
一つの家庭を破壊した事実は変わらない。
そのせいで冬花は辛い思いをして、催眠療法まで使って記憶を封印していた。
目覚めるときも、倒れたりしている。小野家の家族を……冬花の人生を奪った。
父さんの罪は、私の罪だ。
「パパはいつもあなたのことを話してくれたよ。サッカーが上手で、友達になれるって……。
だからあの日一緒にご飯を食べた日のこと、すごく覚えている。
あなたのキラキラとした笑顔……今でも思い出せる。
Aちゃん、思い出してくれてありがとう」
「冬花……ごめんね」
「もう、違うでしょ」
私のことを許してくれるの……？
違う、許す許さないじゃない……冬花は何も悪いと思っていない。
なら、私が言うことは。
「冬花、ありがとう」
「うん！また一緒に、ご飯食べようね」
「サッカーも……しような」
随分と時間は経ってしまった。
だけど、私たちはまた友達になれる。
サッカーが小野さんと私を繋げてくれた。
──「でも必ず救われる日が来る。サッカーをしている限り、君は大丈夫だから」
そして、冬花や仲間のみんなを繋げてくれた。
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