１９３話始めたきっかけ ページ24
「よぉ、A！」
「お邪魔します」
「お、円堂！……と？」
次に病室に入ってきたのは円堂とお花を持ってきてくれた紫髪の少女だった。
「紹介するよ、ふゆっぺだ！」
「久遠冬花です」
「ああ！イナズマジャパンのマネージャーの……！久遠、さん……」
「冬花でいいよ。Aちゃん」
「ふ、冬花！よろしくな〜」
まずい、サッカーばっかりやってきたし絡むのはだいたい男子ばっかりだったから、
こんな淑女を相手にするのは初めてだから緊張が……！
「目が覚めてよかった」
「うん、心配かけたな〜」
「ほんとほんと！今度からは仲間の誰かに相談すること！いいな！」
「ふふ、守くんお兄ちゃんみたい」
「円堂がお兄ちゃん！？ないな〜」
「ええ！？」
円堂を怒らせちゃうくらい迷惑かけちゃった自覚はある。
でも怒ってくれる方がちょっとありがたいかも。
「みんなお前に早く会いたがっていたよ。早く退院できるといいな！」
「お医者さんが言うには、仮退院がちょっと早まりそうらしいんよ」
「本当か！？よかった〜！Aのシュート、今度こそ受け止めてみせるぞ！」
「言ったな〜？光のストライカーのシュート、次もゴールに突き刺してやるんだから！」
私と円堂のやり取りを、冬花はにこにこと笑う。
なんか優しく見守られているから、ちょっと冷静になれた。
「そうだ、決勝トーナメント進出おめでとう。自分のことのように誇らしいよ」
「ありがとう！お前もイナズマジャパンの一員なんだから、自分のことのように〜じゃなくて自分のことだろ？」
「あはは、そう……だね」
仲間って言ってくれて、こんなに嬉しいことはないよ。円堂。
改めて私は冬花の方を見る。
そういえば、冬花と私は接点がないけど……どうして連れてきたんだろう。
本当に紹介のためだけに？
「そうだ、ふゆっぺ。Aに言いたいことがあったんじゃないのか？」
「うん……あのね、Aちゃん。
もしかしたらあなたにとっては嫌な記憶かもしれないけど……話してもいいかな」
「え、なに改まって……そう言われると覚悟できるっていうか」
冬花は真剣な表情になって、拳を握りしめる。
なんか、心がざわつく気がする。
「覚えていない……かな。お父さん……小野正隆のこと」
「小野……小野……！？」
私の記憶が、一気に蘇る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
