１９１話いつもの二人２ ページ22
「おぉ、わりいわりい」
「おいおいノリ悪いなぁ。検査は異常なかったんだろ？これ、見舞い品だぜ！」
素直に謝ってくれる雷電と、ズカズカと入ってきて棚の上にたくさんのフルーツを置いてくる条介は対照的だ。
病院の椅子にドカッと座り、まずはイナズマジャパンの吉報を伝えてくれる。
「俺たち、予選突破して決勝トーナメントに進めることになったんだぜ！」
「ニュース見たよ。おめでとう」
私の返答に対して、二人は顔を見合わせる。
しまった、素の私が出ちゃってたか。
すぐに「なはは〜」と笑おうとするが、上手く言葉が出てこない。
私、どうやって笑っていたっけ。
「にしてもよぉ、オルフェウスは強かったな！」
「おう！フィディオとの必殺シュート……なんだっけ？ヤヌス……何とか」
ヤヌアリウスの名前の元はヤヌス神から取っている。あながち間違いではない。
「あはは、ヤヌアリウス・ア・レイね。ま〜た難しい必殺技名出しちゃったかな」
「そうそれだ！いや〜Aと一緒にするサッカーもいいけどよ、相手として戦えるのは面白かったぜ」
「うん、私も！」
あの勝負は本当に楽しかった。
雷電や条介たちと真っ向勝負出来たんだから。
「そうそう、その笑顔！」
「！」
「Aはこうでなくっちゃな〜」
条介がいつもの笑顔でそう答える。
……ちょっとずつ、慣れてきたかな。
「それにしても、何も言わずいなくなるとは思ってなかったぜ」
雷電の言葉にちょっと胸を痛める。
うぅ、その節はお世話になりました……。
「ま、俺は戻ってくると信じてたぜ！勝ち進めばなんとかなるってな！」
「でもまさか敵として会うなんて思わなかったがな！」
「「がはは！」」
「もう……ごめんな。二人とも」
「こうして五体満足で戻ってきたからいいんだよ。おかえり、A」
「……うん。ただいま。条介、雷電」
なにも聞かないのは、逆に助かったかも。
二人のキラキラは前よりも小さく見える。
多分これは私が闇に触れたからそう見えているだけで、本来であれば彼らの光は眩しく輝いているはず。
「そうだ！吹雪との必殺技、サンダービースト見てくれよ！」
「ずりいぞ土方！俺のザ・タイフーンも見てくれ！」
「分かった！分かったから落ち着いてくれな〜！」
看護師さんに注意されるまで、二人はやんややんやと騒いでいた。
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