１８５話父さん ページ16
試合が終わり、私は修也と握手を交わした。
そういえば、修也たちと本気で対峙した試合って初めてだったから新鮮だったな〜。
「ありがとう、修也！本気のサッカーをしてくれて！」
「こちらこそだ、A」
「じゃあ……とりあえず、またあとでな」
「あぁ」
雷門イレブンの解散の時と同じような感じで、修也は名残惜しそうに手を放す。
じんわりと手の暖かさが残っていて、消えていくのが惜しい。
ぎゅっと拳を握りしめて、私は父さんの元へ向かう。
「父さん！」
「A」
「どうだった！？私のサッカー！！」
今になって息が上がって来る。自分が興奮していることに気づいた。
「天地神明、見たでしょ！？あれ、師匠……アフロディに教わったんだ！
最初本当に難しくてさ……なんとか習得したんよ！
あと、フィディオとのヤヌアリウス・ア・レイ！
ギリギリだったけど、一緒に特訓しまくってさ……あと、あとね！」
「A……落ち着いて話せ」
父さんが仕方がないな。という感じで話を聞いてくれる。
そして私の頭の上に優しく手を置いてくれた。
……大きくなっても、闇に染まっても変わらない優しい手だ。
上を見上げると父さんの頭の上のキラキラが、ちょっと強く輝いた。
もう黒い光はどこにもない。
こうやって近くで喋れるのはこれで最後かもしれないんだ。
真・帝国のときは本気を出していなかったし、父さんに私のサッカーを見てもらう機会は少なかった。
だから本当に嬉しいんだ……！いっぱい話したいことはある。
離れたあとに沖縄で親友に出会ったこと。雷門イレブンでの活躍。
そんなことを話せる時間はないことは……分かっていた。
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