１８２話私のサッカー４ ページ13
「まさか自己暗示までしてミスターKの奥深くまで入るとは思わなかったよ。
危険な目に合わせて、すまない」
ヒデは私に頭を下げて来る。
「いいんよいいんよ！結果オーライ、なんよな〜」
「……ありがとう。君は本当に眩いな」
すると、後ろから小さな少女がルカと一緒に歩いてきていることに気づいた。
金髪の少女……もしかして、彼女が。
「ルシェ！？どうしてここに……ナカタ、これはどういうことだ。
ルシェをここに連れてくるなど……！」
「お言葉ですがミスターK。ルシェの願いなんです。
目が見えるようになったら、最初にあなたのサッカーが見たいってね」
「だからといって、こんなところに……」
「これが最後なんじゃないですか？」
「！」
父さんは、この試合を最後にするつもりだと私も気づいていた。
だから本気の私のサッカーを見せたかった。
ルシェは父さんの策略に巻き込まれて怪我を負ってしまったという。
そして、目の病気があることに気づいて手術を受けさせてくれた。
目の病気、か……なんか一緒みたい。
「あなたは心のどこかでカステーロのことが気がかりだったんでしょう。
見た目が似ていて目の病気を抱えているルシェのために何かをしてやることで、少しだけ救われていたんじゃないですか。
あなたの心は、闇の世界を抜け出したがっていたんです！」
ルシェは、父さんに近づく。
「おじさん？」
「！……ルシェ」
「その声、やっぱりおじさんだ！」
「見えるのか？」
「うん！おじさんのおかげで私の目、見えるようになったんだよ！」
私はその光景を見て、父さんに眼鏡をもらった時のことを私は思い出した。
──「A、この眼鏡をかけてごらん」
「キラキラ過ぎてない！白くない！
父さんの顔も、人の顔もはっきり見えるよ！」──
父さんは、誰かを救うことで自身の闇と戦おうとしていたんだ。
「じゃあ後で！応援してるね！」
そう手を振るルシェ。しかし、彼女と私の目がばっちり合う。
そして近寄ってきた。
「お兄ちゃん……おじさんと同じ匂いがする！
もしかして、おじさんの子供なの？」
「え！あ……うん、そうだよ。
ルシェ、父さんと私のサッカー見ててよな！」
「うん！頑張ってね！」
ルシェに言われたことに驚いたな。
ルシェ……イタリア語で光、か。あの子のためにも、頑張らないと。
「後半の作戦を伝える！」
「「はい！」」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
