１２９話考えるな ページ5
一方そのころ、雷門中体育館では。
豪炎寺side
「行くぞ！世界へ！」
「「おう！」」
サッカーの世界一を決めるフットボールフロンティアインターナショナル、通称FFI。
その大会の開催が決まり、俺たちは日本代表候補としてこの場に召集された。
候補に選ばれたというだけで誇らしい。
そういえばAに報告しなければな。
携帯を開くと、ホーム画面は夕香とAの笑顔の写真がある。
そのままメールを開いてAのページに飛んだ。最後に話したのは……一週間前か。
Aに、「世界大会の候補に選ばれた。応援してくれ」と一文残す。
あいつのことだ、すぐにメールを送るか電話がかかってくるだろう。
そう思っていたが一向にメールは来なかった。
二チームに分かれて行う候補試合。
同じチームでAのことをよく知る鬼道にも一度確認を行った。
「なぁ、Aと連絡を取っているか？」
「あぁ。お前ほどではないと思うが……どうした？」
「いや……一日くらい、連絡が取れないんだ」
鬼道はあのAが？と少し眉を顰める。
雷門イレブンが解散した後、Aは雷門中の誰かしらと通話をしたりメールをしたりしているという。
練習終わりに誰かの携帯電話越しに声が聞こえたり、
俺のところにもよく「練習終わった？今日は何したん？」とよく掛かってくるくらいだ。
だからこそ、一日連絡取れないのはどうもおかしいのだ。
他のメンバーにも確認をとりたいが、試合前だから控えておこうとは思う。
「……もう一日くらい待ってみよう。俺もAに確認してみる」
「分かった。連絡があったら、教えてくれ」
「もちろんだ」
試合の後は、円堂や綱海たちにも聞いてみよう……。
そう思ったが、試合が終わった後もＦＦＩの予選が始まっても……
俺が、ドイツへ留学することが決まり悩んでいても。
そしてそれが吹っ切れた後でも、Aから連絡がかかってくることはなかった。
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