土方との出会い２ ページ29
サッカーをするなんて、帝国学園で父さんに隠れてやっていた時以来だ。
あの時は、小野さんという父さんの部下だった人と一緒にサッカーをしていて……。
「あ！」
ぼうっとしていると、ボールがつま先に軽く当たり突拍子もないところに飛んでいってしまった。
それを土方の弟は何とか拾ってくれる。だけどそのボールは海の方にポーンと高く行ってしまった。
「ボールが……！」
そう土方の弟は叫ぶ。このままだと海に入ってしまう……！
私は意を決して砂浜を蹴りこんだ。
ぐっと力をためてジャンプし、足先を伸ばす。
「届けぇ！」
右足にちょんと軽く当たったボールは軌道を修正して海に落ちずに済んだ。
しかし、私はバランスが崩れたまま砂浜に落ちてしまった。
「お姉ちゃん！」
「あいてて……だ、大丈夫〜」
海に落ちなかったからよかった。特に体も痛まないから大丈夫そうだ。
「よお、さっきの見てたぜ」
「あ、土方……」
いつから見ていたのか、土方は嬉しそうにニヤニヤとしている。
「お前、サッカーやるんだな！あの瞬発力、並みじゃねえからよ！」
そう笑う土方に私は目を背けたくなってしまう。
サッカーはやっていた……けど、ほんの少しだ。
「……いや……別に……」
「……あのさ、たまに弟たちとサッカーしてくれねえか？」
「え？」
「俺んち、ちっちゃい兄妹いっぱいいるからよ。
一人でも一緒に遊んでくれると助かるぜ。その代わり、上手い飯食わせてやっから！
……どうだ？」
沖縄に来て、サッカーになんて縁もゆかりもないと思っていた。
だけど、ボールを足先に少しだけ触れたあの感覚……また味わいたい。
思い通りにボールが動いた時……ドリブルが成功した時、シュートが決まった時の嬉しさを。
「うん……それなら」
私が控えめに返事をすると、土方は手を差し出してきた。
その手を握ると、力強くブンブンと振られる。
「わ、わわ！」
「がっはっは！」
この時、まさかこの後自分がサッカーをひたすら一人でやり続けるとは思っていなかった。
まぁそれは、別のお話！
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机田(トラさん)(プロフ) - bizyuさん» 番外編も見ていただきありがとうございます！本編とはまったく関係ないわけではありませんが、奮闘している主人公をぜひ追っていただければと思います！(話は反れますがbizyuさんが四字熟語を好きだと作品内で仰っていたので、共通点があってニコニコしています^^) (1月1日 20時) (
レス) id: 8b84652de6 (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - 番外編ありがとうございます！本編とはまた少し違う視点で見れるのでとても新鮮な気持ちで読ませていただいています！これからも頑張って下さい(о´∀`о) (12月31日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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