土方との出会い ページ28
浜辺の海に毎日通うようになって一週間くらい経った。
「あれ、綱海今日はいないな……？」
きょろきょろ辺りを見渡しても、海の方を見つめても綱海はいる気配がない。
仕方がない、帰るか……と思っていたその時だった。
「よぉ」
「わー！！」
突然声をかけられて、私はものすごい勢いで後ずさる。
「す、すまん。そんなに驚かせるつもりはなかったんだが」
申し訳なさそうにしている男の子は何故か割烹着を着ていて、サッカーボールを右手に持っている。
割烹着とサッカーボールというなんともアンバランスな組み合わせに、私はまじまじと失礼ながらも見つめてしまった。
「お前、隣に住んでいる……子。だよな？竜城さん家の」
「え、うん……竜城A」
「俺は土方雷電！ようやく喋ることが出来たぜ〜！」
土方雷電と名乗った少年は優しく、だけど豪快に笑った。
「うちには小さい兄妹がいっぱいいてよ。ほら、挨拶しな」
土方の大きな体に隠れるように小さな男の子が私のことを覗いている。
「こ、こんにちは」とぎこちなく挨拶をすると後ろの方に隠れてしまった。
「もしかして綱海のこと探していたか？
あいつなら、『学校の宿題が終わらせないと母ちゃんに怒られる！』って言って急いで帰っちまったよ。
伝言よろしくって言われたんだ」
「あ〜…そうなんだ」
ちょっとがっかり。綱海のサーフィンを見るのは好きだから。
そんな様子を見た土方はボールを差し出してくる。
「そうだ、ちょっとサッカー付き合ってくれないか？」
「うぇ！？」
「ちょっとの間弟の相手になってくれよ。俺、今洗濯したものを干さないといけなくて」
ボールをぽーんと放られ、私は慌ててキャッチをする。
顔を上げると、土方はすでに家の方に走って戻っていた。
そして話したこともない小さい男の子と、私だけが見事に残された。
「……」
「……」
「さ、サッカー……する？」
私がそう尋ねると、土方の弟はこくりと小さくうなずいた。
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机田(トラさん)(プロフ) - bizyuさん» 番外編も見ていただきありがとうございます！本編とはまったく関係ないわけではありませんが、奮闘している主人公をぜひ追っていただければと思います！(話は反れますがbizyuさんが四字熟語を好きだと作品内で仰っていたので、共通点があってニコニコしています^^) (1月1日 20時) (
レス) id: 8b84652de6 (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - 番外編ありがとうございます！本編とはまた少し違う視点で見れるのでとても新鮮な気持ちで読ませていただいています！これからも頑張って下さい(о´∀`о) (12月31日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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