熱【イタリア留学編】 ページ17
今日の練習終わりも、7人で片づけをする。
それ以外の人たちも、ちょっとずつではあるものの引け目を感じているのか手伝ってくれている。
ボールを片付けて一つ一つ磨いていると、グラウンドの整備が終わったフィディオが駆け込んできた。
「カステーロ！明日のペアは決まっているかい？」
「え？決まっていないけど……」
「よかったぁ……！じゃあ、明日は俺と頼むよ」
「うん！そういえばやっとだな〜」
フィディオは嬉しそうに笑ってガッツポーズを取る。
「俺も君も、ペアの予約がいっぱいだったからね……じゃあ、明日は頼むよ」
「うん！」
明日はフィディオとペアか……よし、オルフェウスのコンビの力、見せてやるか！
・
次の日の自主朝練。
私はいつも通り起きた。はずだったんだけど。
「……あれ、体が……重い……？」
どうにも、昨日のような調子が出ていない。
ちょっとばかり寝坊をしてしまったし、グラウンドに待っているメンバーに申し訳ないと思ってすぐに寮を出た。
「お待たせ〜！遅れちゃってごめんな〜」
「遅いぞ、カステーロ……お前、顔赤くないか？」
今日いるメンバーはフィディオとテレスだった。
そうテレスに声をかけられて、私は頬に手を当てる。
「いや、外が寒いからかな……？」
「まぁいいか。それよりも始めようぜ」
「うん！」
テレスとフィディオ、そして私でボールの競り合いが続く。
だけど今日はどんどんと私は抜かれていってしまう。
「あっ！くっそ〜！」
「……ねえ、カステーロ。君やっぱり体が……」
「うぇ？」
フィディオの方を向くと、ぐわんと視界が歪んで見えた。
そして、気づいたときには地面が目の前にあった。
「カステーロ！！」
「お前、やっぱり……くそ、おばちゃん呼んでくる！」
そう言ってテレスは寮に戻っていってしまった。
なんか体熱い……目が熱い……っていうか私、全然動いていないのに息上がりすぎじゃない？
すると体を少し起こしてくれたフィディオが私の額に手を当てる。
ひんやりして気持ちい……。
「すごい熱だ……カステーロ、しっかりして！」
「ねつ……？」
その時、私は初めて自分が風邪を引いたことに気づいた。
生まれてこの方、一度もなったことのない風邪に。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
机田(トラさん)(プロフ) - bizyuさん» 番外編も見ていただきありがとうございます！本編とはまったく関係ないわけではありませんが、奮闘している主人公をぜひ追っていただければと思います！(話は反れますがbizyuさんが四字熟語を好きだと作品内で仰っていたので、共通点があってニコニコしています^^) (1月1日 20時) (
レス) id: 8b84652de6 (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - 番外編ありがとうございます！本編とはまた少し違う視点で見れるのでとても新鮮な気持ちで読ませていただいています！これからも頑張って下さい(о´∀`о) (12月31日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
