六十八話 ページ42
それはもう烈火の如くであった。
私の話を聞きに集まってきた四名(なぜか甘雨が増えて五名になっていたのは謎)は私の後ろで爽やかに笑う人物を見て絶叫と絶句、混乱の嵐。挙げ句の果てには支離滅裂な言葉を叫び、甘雨に至っては腰が抜け、魈は稀に見ないレベルのきょとん顔で私と鍾離殿を交互に見た。
理解ができた後の留雲の怒り節もすごかった。正直八割も聞き取れていない。それぐらい怒涛だった。
しかもその状況で鍾離殿が土産の話しだすんだもん、仙人達は尚のこと怒った。というかツッコんだ。
ようやく落ち着いてきたのは鍾離殿の本当に笑えない冗談にツッコミ疲れて全員疲弊したあたりからだ。
「今日はAの話を聞く程で集まったのだろう?俺の話ばかりしていては彼女に悪い。」
「鍾離殿が付いて来なかったらこうはなってないって話、します?」
「俺もAがどうして千年前突然いなくなったのか聞いていないからな。」
私の皮肉すら華麗にスルーしているあたり、流石岩神(褒めてない)。
しかし、その話を切り出して本来の筋を思い出したのだろう。疲弊していた仙人全員が聞かねばなるまいと、姿勢を正した。
そのかしこまった様子に私は思わず尻込みし、両手の指を編むように不安げに擦り寄せた。
別に何か突拍子もないことがあったわけではない。人に傷付けられたわけでもなければ、みんなに失望したわけでもない。
長きに渡る魔神戦争の終結。平穏な世界。そんな中で向けられた視線に、期待に。…それが。
「………わたし、は。」
夜叉のように素早くはない。
麒麟のように人を癒せない。
知恵は浅く、仙術もお粗末。
あるのは、全ての裏側を覗き見る、この瞳だけ。
強大な力を前にした時、弱者が感じるのは一つだけ。
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ノア(プロフ) - まっでまじだ!! (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます!!お体お気をつけてください!続き楽しみにしてます!! (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます!お忙しいでしょうが頑張ってください! (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…!夢主ちゃんかっこよすぎる!!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年6月10日 13時