五十七話 ページ29
凝光が帰終機を召喚し、その上に仙人が立って帰終機に仙力を注いでいく。
青々と輝くその力は、かわし切れないほど光の矢になってオセルに向かって放ち始める。
効果があるかどうかはまだ序盤、確かめる術は続けることしかない。
決して攻撃の手が緩まないように、何より僅かにでも効果的になるように、私は全力で仙人たちをサポートしなければ。
「ファデュイだ！帰終機に向かってきたぞ！」
当然、帝君から神の心を奪うことが目的のファデュイがオセルを止めようとする私たちの邪魔をしないわけがない。
一体どうやってここまで来ているのか原理の一切わからない転送によってわらわらと湧き出る虫のように生えてくる。
「自らの国の神の為なら他国の民が苦しもうが関係ないという事か。…笑止千万。反吐が出る。」
吐き捨てた声が自分のものとは思えないほど低く、淡々としていた。
これほどまでに怒りが込み上げたことなどこの長い人生であっただろうか。
存外私は、怒ればこれほど冷酷になるのだと自らに驚いている。
──────ならば、吾も同様に、それに答えよう。
side 魈
淡い緑の光がAの周囲を囲む。蓮の花弁が彼女のあたりを包むようにして舞い、彼女が一歩歩いた先に蓮の花が惜しげもなく咲き乱れる。
煌々と、月光に照らされた海辺の輝きに染まるその瞳の先には、璃月を踏み荒らす不届き者への怒りに煮詰まった感情が、囂囂と沸き立っていた。
俗人に染まらぬ、君子の花。
泥水の中でも美しい花を咲かせるその姿は、叡智や慈悲の象徴ともいえる。
戦の場で彼女はいついかなる時も冷静に、堂々とし、その佇まいを崩さない。
その様を、その背を、例え彼女が自らにどれほど力がないと嘆いていたとしても、あの絶望の渦で戦況に輝きをもたらしたものは紛れもなく帝君と彼女だ。
眼を離せば、泡のように消えてしまいそうな彼女の手を、何度目かわからないほどに触れ、今度は消えないように願って握れば、それに気付いたようにAは我に眼差しを送る。
「……�爐泙性瓠�大丈夫だよ。」
嘘偽りの吐けない彼女の言葉と、触れた手の温もりが、どうしても手放すことが惜しい。
降り注ぐ雨の中。その身を刺すような神力の中。
どうか彼女が消えることがないように。天に召した帝君に願った。
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ノア(プロフ) - まっでまじだ！！ (2022年11月13日 9時) (
レス) @page33 id: 7cc6cd9634 (このIDを非表示/違反報告)
ぐへへへへ - あばばば好きすぎます！！お体お気をつけてください！続き楽しみにしてます！！ (2022年9月14日 1時) (レス) @page32 id: 55d4558f37 (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます！お忙しいでしょうが頑張ってください！ (2022年9月2日 0時) (レス) @page32 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - すっごい好みなものを見つけてしまった…！夢主ちゃんかっこよすぎる！！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2022年6月22日 11時) (レス) @page32 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 本当に面白いです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2022年6月15日 8時) (レス) @page30 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりまろ。 x他1人 | 作成日時：2021年6月10日 13時
