八話 ページ9
来る日、望舒旅館にて。
流石に一人で望舒旅館に向かうのが恐ろしかった為、助手の一人に見送ってもらうことしたはいいのだが、もうすぐ到着という所で不安に駆られ足が止まってしまう。
嫌な汗が全身から流れ、とても不愉快だ。魈に会えるという嬉しさと嫌われないかという不安の感情が交通事故を起こしている。
「……A先生、大丈夫ですか?」
すまない助手君、大丈夫じゃない。
ここまでついてきてもらったにも関わらず帰りたいという気持ちでいっぱいだ。
それだけ彼との対面から逃げてきたということでもあるのだけど。
「…………頑張るよ。契約してしまったから」
道中何度も帰りたいと思ったが、契約したというその責任感で何とか逃げ出すことなくここまで来れている。
頑張らねばならない。頑張らねば。魈に一目会うだけでいいんだ。
「というか、私は思うんだ助手君」
「はい」
「安否を教えるだけなら別に文でも良かったんじゃないかってね」
「それをしたら私は先生の助手を辞めます」
「辞めないで」
本気で軽蔑するような瞳をやめてくれないかな助手君。あ、その瞳結構辛いやめて、先生傷付きやすいの。精神豆腐なの。
「旧友に会われるのですよね。それも、貴方に会いたがっている方に。
それなら直に会うべきです。例えどんなことを思われようとも五体満足で存在できていることを紙に書いた文字ではなく、自身の肉声でしっかりとお伝えすることの方がいいに決まっています」
きゅっとした口から出る言葉は最もな御言葉だ。本当に彼女は数千年も生きている私よりしっかりしている。彼女を助手に選んで良かったと、心の底から思う。
彼女の言葉に勇気付けられながら、私は望舒旅館へと進む足を早めた。
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りー - 理由把握いたしました。先日は失礼なこと言ってしまって申し訳ありません。五月病など無理なさらないでくださいね。 (2021年6月3日 17時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
りる - とりまろ。様はもう小説は書かれないんですか…? (2021年5月31日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - すみません絵じゃなくて小説です…誤爆しました… (2021年5月26日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - イッキ見しました…ひゃえ…大好きです主様の絵好きです更新まってます!! (2021年5月22日 0時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年4月25日 14時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 x他1人 | 作成日時:2021年3月31日 20時