六話 ページ7
「まず、魈はお前に恩がある。だからこそお前の奇行も愛撫も嫌ではあったが受け入れていた」
「え、待ってくださいそれ聞かされたら余計に会うべきじゃない気がするんですが」
「それが不快だったのは出会って最初の話だ。今はそうでも無い。話を戻すぞ。
魈はお前のことを先輩として憧れていたところもある。それこそ、魈も甘雨もお前のその眼の使い方に一目置いていた。自分では到底できないことをお前はやってのけたから」
楽しげに語る鍾離殿にほんの少しの罪悪感が浮かぶ。甘雨はともかく、魈まで私の瞳に一目置いていたことは初めて知った。そもそも、先輩として憧れていた話だって今初めて聞いた。
それだけ彼は私に対して冷たく当たっていたということだ。多分言ったら更に愛でられるからとかそういう理由もあるんだろうが、知られたくはなかったんじゃないだろうか。特に、当人には。
「お前には相手の心の内を見抜き、敵陣を透視し、劣勢だった戦闘を勝利に導く程の強さがあった。その目の代価として戦う力は微弱ではあったが、弱い故に出来る交渉も、心を揺さぶる問い掛けもできた。
天衡山での戦いを覚えているか？あの時お前はこれ以上の人死がでないように戦士の戦う心を挫いただろう。お前は彼らの心に問い掛け、彼らの思いに触れ、理解することで和睦へと導いた。今でもあれは見事なものだと思っている」
「鍾離殿」
途中から昔を懐かしむような口調と瞳で私の過去を語り出す鍾離殿を呼び止め、過去を語らいに来たのですか？と聞くと、彼は、しまった。と言いたげな顔で口を押え、「久しぶりにお前とこんなに長く話しているからな」と言って、申し訳なさそうに笑った。
私は過去を思い出すことは得意ではない。忘れっぽい訳では無い。記憶力はある。それこそ鍾離殿程には。
ただ単純に、思い出すことが苦手なのである。
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りー - 理由把握いたしました。先日は失礼なこと言ってしまって申し訳ありません。五月病など無理なさらないでくださいね。 (2021年6月3日 17時) (
レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
りる - とりまろ。様はもう小説は書かれないんですか…？ (2021年5月31日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - すみません絵じゃなくて小説です…誤爆しました… (2021年5月26日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - イッキ見しました…ひゃえ…大好きです主様の絵好きです更新まってます！！ (2021年5月22日 0時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです！更新頑張って下さい！ (2021年4月25日 14時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりまろ。 x他1人 | 作成日時：2021年3月31日 20時
