二十七話 ページ45
side 魈
触れれるほどに近くにいる。
言葉を投げれば返してくれる。
夢にまで見た偽りの幻覚ではなく、はっきりとそこにいる。
それを、どれだけ長い間望んでいたことか。
「魈、あのね。長話は出来ないんだ。その…帝君のこともあるから…早く次の仙人のところに行かなきゃ」
それは申し訳なさそうに胸元に手を当て、俯きながらに言葉を紡ぐ。こちらの瞳を見ようともせず、合わせようともしない。昔と変わらない仕草。
目を離せば煙のようにふわりと消えてしまうのでは無いかと思い、その白い肩を両手で掴んだ。
それは細々としていて、ほんの少し力を加えてしまえば折れてしまうのではないかと思うほどだった。
唐突に肩を掴んだ我の真意など知らず、Aは混乱したように表情を変え、我の顔色を気にする。
「食事はとれているか」
「え…、う、うん…食べれ てる」
食べ"れ"てる。
「体調は崩してないか」
「うぇ、…？い 今は、大丈夫だよ……？」
"今は"大丈夫。
「怪我はしていないか」
「今日はしてないよ」
今日"は"してない。
無意識なのだろうか。それとも正直なのだろうか。彼女の発する言葉の節々が心のどこかに引っかかる。
それが彼女にとっての当たり前のことだからこそ、こういった言葉になる。それが、酷く心苦しい。
「そうか…」
深く深く息を吐き、漸く口に出せたのはそれだけだった。
慕うべき帝君が死に、失踪していた旧友が姿を現した。それはあまりにも、不自然極まりない連続。
あまりにも不自然なこの状況にAが何かを知っているような気がした。けれど、それを聞くことは出来なかった。
臆孤透眼真君としての最後の契約を全うしようとしているのではないかと、そう思ったから。
「……全てが終わったら、また此処で待っている。その時に、全てを話してほしい」
空白の1000年間。彼女が何を見て何を感じたのか。何を思って消えたのか。
そして、彼女の孤独を見て見ぬふりをした、その罪を、少しでも贖うために。
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りー - 理由把握いたしました。先日は失礼なこと言ってしまって申し訳ありません。五月病など無理なさらないでくださいね。 (2021年6月3日 17時) (
レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
りる - とりまろ。様はもう小説は書かれないんですか…？ (2021年5月31日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - すみません絵じゃなくて小説です…誤爆しました… (2021年5月26日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - イッキ見しました…ひゃえ…大好きです主様の絵好きです更新まってます！！ (2021年5月22日 0時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです！更新頑張って下さい！ (2021年4月25日 14時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりまろ。 x他1人 | 作成日時：2021年3月31日 20時
