序章『天地開闢』 ページ1
──────望舒旅館。
荻花洲を象徴する巨大な岩柱の上に建つ旅館。ここの旅館で休息をとる者の殆どは商人であり、旅館側も交易の場や露店を開く場所を提供している。
その旅館には、とある仙人が現れる。
その仙人とは幾千年も前、悪を滅することを岩王帝君に誓い、今も尚その契約を守り続けている者＿＿＿＿三眼五顕仙人《魈》である。
彼は少年の姿をしているが、実の年齢は2000を超える。けれど、彼の姿を見て彼を嘗めてかかる者はいない。
彼の纏う雰囲気は素人目から見ても尋常ではないからだ。
そんな彼の魈という名を璃月の人々は聞き慣れない。何故なら彼に出会う時は命の危機に瀕している時のみだからだ。そんな状況下に加えて、彼の夜叉の儺面は人に恐怖しか与えないのだろう。
璃月の人の殆どは死の瀬戸際に追い詰められた恐怖から、そして彼の纏う雰囲気から、彼に礼など言わない。否、言えないのだ。
◇◇◇◇◇◇◇
賑やかな昼間とは打って変わって、夜の静けさに溶け込む璃月の町の一角。淡い灯篭の光を支えに原稿を書き込む者が一人。その周囲には積み上げられた本の山と没になり丸め捨てられた原稿用紙が散らばる。
そんな彼女の前にはそんな彼女を眺める長身の男がいるが、彼女は原稿に集中しているのか、その男に気付く気配はない。
原稿に対する集中を一度止め、眠気を覚ますためにあえて苦く淹れた茶に手を伸ばす。
そして、ようやく自身の目の前に立っていた存在に気付き、驚きのあまり椅子から転げ落ちた。
「相変わらず熱心だな」
転げ落ちた自分を見て、けらけらと笑う男に心臓が弾ける思いだった自身の心情は口にせず、一気に溢れた汗を拭いながら彼女は枯れた声を口にする。
「て…帝君…」
「今は鍾離だ。A」
「…あ、はい。鍾離殿…」
Aと呼ばれた女性は、苦笑い気味に顔を歪める。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 463人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りー - 理由把握いたしました。先日は失礼なこと言ってしまって申し訳ありません。五月病など無理なさらないでくださいね。 (2021年6月3日 17時) (
レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
りる - とりまろ。様はもう小説は書かれないんですか…？ (2021年5月31日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - すみません絵じゃなくて小説です…誤爆しました… (2021年5月26日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - イッキ見しました…ひゃえ…大好きです主様の絵好きです更新まってます！！ (2021年5月22日 0時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです！更新頑張って下さい！ (2021年4月25日 14時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とりまろ。 x他1人 | 作成日時：2021年3月31日 20時
