大人になった子ライオンと社会人になったナイスガイの話 (ページ38)

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「はい、では質問に答えてくださーい」
「……」
　おお、密林みたいにうざい前髪越しの、今年一見事なガン飛ばし。
　思いっきり上目遣いでなかったら、さぞ迫力あったろうにねえ。
「今日飯何食った？」
「まだ。キリいいとこまで終わったらUberでなんか頼もうかなって」
「もう夜の9時過ぎだが？じゃあ朝と昼は」
「ゼリーの奴いっぱい貰ったから飲んでた」
「もう一度質問する。飯は！？」
「食べると眠くなるからやなんだよ！終わったら食うの！」
　おい怒り出したぞ。いやもう逆ギレも甚だしい。
「じゃあ次の質問。最後に外に出たのは？」
「……先週の会議の日」
「じゃあ最後に風呂に入ったのは？」
　この質問やべえな。最後って何。普通は昨日か今日の二択が自明だろ。
　その後しばし無言で続いた睨み合いは、軽快な『お風呂が沸きました』チャイムによって破られた。
「風呂沸いたってさ。入りな」
「僕まだ仕事中なんだけど。いきなり来て何なの一体！？」

　で、ここでD.C.というわけよ。まあったく！

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《D.C.＝ダ・カーポ音楽用語曲の最初に戻るの意味》