【歌い手】 恋い焦がれる 【短編集】

全てを忘れてしまえれば＊センラ ページ39

私には好きな人がいて



それは、
かっこよくて
優しくて



私の一目惚れだった



『あの、私、Aって言います
よろしく…』



初めて自分から話しかけて



センラ｢ん、よろしくな｣


話す時に入る京都のなまりがとても似合ってた



それからは、全部、全部、センラくんが私の毎日にいた





たまに話したり



そんな日々が楽しかった





でもね、楽しい日って続かないものなんだね




君には、センラくんには、彼女がいる



このことは本人から聞いた





センラ｢ほんま、可愛くてさ｣



目を細めながらほんとに愛おしそうに話す



見ていられなかった





そして、センラくんにそんな顔させる彼女が羨ましくてしょうがなかった







その日は自分の部屋で一人で泣いたよ
もう、涙が枯れそうなくらい




でも、苦しいのはその日だけじゃない





簡単に諦められない


だから、センラくんと彼女が一緒に手を繋いで帰ってるとことか、
一緒にお弁当食べてるとことか、

そんなところを見る度に胸に矢が突き刺さるように痛かった




その度にたくさん涙を流した




でも、前よりは確実に減ったけど、話せることとか
おはようって言ってくれるとことか、




そういうところを見せられて
まだ諦められない




彼女のことでの相談で話しかけてくれるのも嬉しいなんて思ってしまう






今日も一緒に帰ってるとこ見ちゃったな

相合傘で






冷たい雨が私に容赦なく突き刺さった

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