【歌い手】 恋い焦がれる 【短編集】

先生＊伊東歌詞太郎 ページ11

『伊東先生、ここ分からないので、教えてもらえますかー？』


今日も伊東先生を求めて職員室に来た。



歌詞「授業中に説明したよ、それ。聞いてなかったの？」


『聞いてましたけど…』



伊東先生とお喋りしたいから、来たんです…

なんて言えないし。



歌詞「今は忙しいから、放課後でもいい？」

『はい！もちろんです！！』






私は放課後に約束をして、職員室を出た。


・


放課後。

空き教室で伊藤先生に問題を教えてもらうことになった。



『どうしてこうなるんですか？』


歌詞「だから、ここはさっき説明したよね？」





『わかんないですー』

歌詞「だから、」



さっきまで上にあったはずの顔が、すごく近いところまで来た。


ドキドキして解説なんて耳に入ってこない。





『伊東、先生…』





知らないうちに、先生の名前を口にしていた。



…えぇ？何言ってんの？私。

どうしよう。すっごく恥ずかしい。

熱くなった顔を下に向けた。

だって、顔赤いの見られたくないし。





歌詞「…前から言おうと思ってたんだけどさ、」


伊東先生は私を変な子だと思ったに違いない。




歌詞「そうやって人の名前呼んで顔赤くするのやめて？

　 いくら先生でも、そんな顔されたら、





　 ……好きになっちゃうよ？」



『え？』



歌詞「卒業まで我慢できる？」



『はい！』

卒業が嫌だった。



だって、伊東先生とお別れになっちゃうから。



でも、その一言で早く卒業したいと思った。


『…私が卒業したら、付き合ってくれますか？』


歌詞「うん。付き合お？」




『ぎゅーって抱きしめてくれますか？』



歌詞「うん」

『キスもしてくれますか？』





歌詞「もちろん」

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