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背中に13 ページ15

それから、特別


岩泉先輩と話すことは無かった

2、3ヶ月間すれ違うことすらなく、私のスマホにある岩泉の文字に私が触れることは無かった

紗彩ちゃんと毎日おしゃべりして、たまに体育館を覗きに行って、たまに部活で本を読む



そうして、夏になった

「涼しい…」

教室に入るとスーッと冷気が体に触れる

「暑かった…」

夏休み、私たちは部活に来ていた

夏休み明けにある文化祭で配る部誌の内容についての説明があるから

「はい、みんな聞いてねー」

部長の先輩が立ち上がって話を始めた

それぞれが原稿用紙に小説でも何でも書いてきて、それをパソコンに打ち込んで印刷

「原稿用紙は30枚から50枚」

じゃあ、頑張って

と解散になった

「原稿用紙30から50枚…結構しんどいな…」

「そうだね。
早めに取りかからないと。」

何を書こう。

ミステリ、ファンタジー、純文学、…

恋愛…?

そこまで考えて少し赤くなった

恋愛

恋愛ってつまり。

私の、岩泉先輩への思いを文章にするってこと?

は、恥ずかしすぎる

恋愛は無理だ…

「A何書く?」

「うー…ん……」

「恋愛でいいじゃん」

「な、な、な、なにを…言ってるの…??」

「あはは、動揺しすぎ」

紗彩ちゃんケラケラ笑った

「でも、Aのその気持ち。
多分どの思いよりも強いでしょ」

「え…どういうこと??」


「人への嫉妬とか、苦しみとか、あ、もちろんマイナスの気持ちだけじゃなくて楽しいとかプラスの気持ちもだよ。

…そういう、気持ちより。
そんな誰もが持つ気持ちより特別な気持ち。
Aは今、恋をしていて
その恋の気持ち、…えっと…恋って難しいでしょ?
苦しいけど楽しくて、悲しいのに嬉しくて…
そういうなんか…複雑な。
そんな気持ちをAは持ってるんでしょ?
じゃあ、それ文章にしなきゃもったいないし、
それに。
その思いは、そういう普段持ってる一瞬の思いよりも心のずっと奥深いところにある、何よりも大切にしたいAの思いなんじゃないの?」

ぽかん、としてしまった

「な、なによ…」

「う、ううん。
紗彩ちゃん…すごいな、って思って。」

「え、何が?」

「気にしなくていいよ。」

そっか。

そうだね

自分の奥深いところにある、私の大切にしたい思いを書くのがいいのか…。

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作者名:ふふ | 作成日時:2018年6月22日 22時

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