お前の横顔に【岩泉一】

横顔に15 ページ17

「岩ちゃん！」


丁寧に、綺麗に上げられたトスを打つ


「お！今のはいい感じだ！」

「もう一本」

「おっけ！」


調子が出ない俺といつもと変わらない調子の及川と速攻の練習をしていたとき


「岩ちゃん！」

助走をつけて飛び上がって打つ

バンっと音がして向こうのコートにいいボールが打ち付けられる


あ、今日の中で1番上手くいった


そんなことを空中でぼんやりと考えていると


「岩泉さん！ボール危ないです！」
「岩ちゃん！」


「…え？」


着地をしようとしても地面が地面ではなく。


バンっと音がした

その音のあとに遅れてやってくる足の痛み


「いっ」

「岩ちゃん！！」


顔面蒼白になって俺に駆け寄る及川

なんだこいつ気持ちわりぃ

といつもなら悪態をつくところだけど生憎そんな余裕は無いみたいだ


「どうした」

監督が駆け寄ってきて俺の足を見た


「速攻の練習してたんですけど着地する時に転がってきたボールを踏んでしまって」


痛くて汗をかいて答えられない俺の代わりに及川が答えた


監督は顔を顰めた


「とりあえずこの様子なら病院だな」










俺は病院に直行して検査された


捻挫と診断された俺の足は折れていなかったものの3週間は運動禁止だった

治りが遅ければもっと伸びる可能性もある


「くそっ！」


最近調子が悪いと思ったらこれか。

なんかいいことねぇな。

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