笑顔と、花言葉～図書館戦争～ (ページ4)

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4.高校生の春ページ4

誰かの声が聞こえた。

声の主は、本棚の後ろで小さくなっていた私を見つけたみたい。

棚に隠れながら私のほうへ小走りでくると、

そのまま優しく、包み込むように抱きしめた。

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助けがきてくれた。

そのことはさっきまで震えていた私にとって本当に嬉しくて、ほっとして、

思わず涙がこぼれてしまいそうになる。

抱きしめられたおかげで顔は見えないけれど、

私にとって、この人はまるで

──ヒーローだ。

・

数秒経つと、ヒーローは抱きしめた腕をそっと離して、私を見た。

｢おっと、大丈夫？ケガはない？｣

銃撃戦の中でも、ヒーローの声ははっきり耳に届いた。

けれど私は顔を上げられない。

こくこくと頷くことで精一杯だった。

｢ここじゃ危ない、避難しよっか｣

ヒーローはそういうと、私の体をいとも簡単に両腕で抱えた。

｢手、いちお俺の首に回して？｣

震えが治まらない私を見て、歩けないと判断したのだろうか。

姫抱きにされ、銃撃戦が行われているのと反対方向に駆けていく。

・

・

そのとき、ヒーローの服についている刺繍を見たんだ。

私の大好きな誕生花によく似ている、カミツレの花。

この人、図書隊だったんだ！

顔見知りの図書隊員さんなのかな？

そう思ったけれど、このときの私に顔を確認する余裕なんてなかった。

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・

・

｢私の、ヒーロー…｣