検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:8,330 hit

無色透明な世界 ページ5

.


 いつも見知っている風景は、そこにはなくて、ただ無だけがあった
 それだけだというのに、私の心は、酷く震えた。後にその理由は分かるのだが、今はそれが不思議でならなかった

 一時の間、心を奪われていた私は、急にハッとする。そうだ、ボーっとしている場合じゃない。ここは、どこだろうか?


 そう考えた途端、ヒュゥ、と風の音が耳に入る。何処から、と思った刹那に、目の前に人の形をした『ナニか』がいた



 足元より長い金髪、濃い緑から、淡い水色にかけてのグラデーションをしている不思議な瞳、神々しい雰囲気……どれも、人間離れしたモノだったが、何よりも私が驚いたのはその顔立ちだった。

 彼女は、彼は、私にそっくりだった。いや、そっくりという問題じゃない。私そのものと言える程私に似ている顔だった。


 驚愕してあいた口が開かない私に、相手はふわり、と笑う。その笑顔は、本当に私の顔がやってるのかと疑うほどに、一度見たら誰もが魅了されそうなほど妖艶で、けれど私は、ソレにゾクリとした冷たい何かを感じた。

ここから逃げ出したい、逃げなきゃ、と私の頭に警報が鳴り響く。どうしよう、動けない。ああ、相手が口をひら い て




「ねえ、キミの身体、僕にちょうだい?」

一歩

「いいでしょう?僕、どうしても生身が欲しいんだ」

一歩

「どうせ、キミは今の生を持て余してるんだからさ」

一歩

「だから……ほら、ほらぁあ!」






 あまりにも、滑らかに語る言葉に圧倒されている中に、相手は息がかかるほど近く、傍に来た。



無色透明な世界2→←日常からの、はじまり2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

津田刑部(プロフ) - ペポさん» わわ、ありがとうございます!まだまだ拙くキャラも全く登場していないですが、頑張って最後まで漕ぎつけようと思います! (2019年2月15日 22時) (レス) id: de60c3f2db (このIDを非表示/違反報告)
ペポ(プロフ) - スッゴク面白いです!無理せず頑張って下さい! (2019年1月3日 17時) (レス) id: 98f13d03ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:津田刑部 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年4月28日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。