無色透明な世界 ページ5
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いつも見知っている風景は、そこにはなくて、ただ無だけがあった
それだけだというのに、私の心は、酷く震えた。後にその理由は分かるのだが、今はそれが不思議でならなかった
一時の間、心を奪われていた私は、急にハッとする。そうだ、ボーっとしている場合じゃない。ここは、どこだろうか?
そう考えた途端、ヒュゥ、と風の音が耳に入る。何処から、と思った刹那に、目の前に人の形をした『ナニか』がいた
足元より長い金髪、濃い緑から、淡い水色にかけてのグラデーションをしている不思議な瞳、神々しい雰囲気……どれも、人間離れしたモノだったが、何よりも私が驚いたのはその顔立ちだった。
彼女は、彼は、私にそっくりだった。いや、そっくりという問題じゃない。私そのものと言える程私に似ている顔だった。
驚愕してあいた口が開かない私に、相手はふわり、と笑う。その笑顔は、本当に私の顔がやってるのかと疑うほどに、一度見たら誰もが魅了されそうなほど妖艶で、けれど私は、ソレにゾクリとした冷たい何かを感じた。
ここから逃げ出したい、逃げなきゃ、と私の頭に警報が鳴り響く。どうしよう、動けない。ああ、相手が口をひら い て
「ねえ、キミの身体、僕にちょうだい?」
一歩
「いいでしょう?僕、どうしても生身が欲しいんだ」
一歩
「どうせ、キミは今の生を持て余してるんだからさ」
一歩
「だから……ほら、ほらぁあ!」
あまりにも、滑らかに語る言葉に圧倒されている中に、相手は息がかかるほど近く、傍に来た。
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津田刑部(プロフ) - ペポさん» わわ、ありがとうございます!まだまだ拙くキャラも全く登場していないですが、頑張って最後まで漕ぎつけようと思います! (2019年2月15日 22時) (レス) id: de60c3f2db (このIDを非表示/違反報告)
ペポ(プロフ) - スッゴク面白いです!無理せず頑張って下さい! (2019年1月3日 17時) (レス) id: 98f13d03ca (このIDを非表示/違反報告)
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