作戦会議して、特訓して6 ページ31
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すっかり日は落ち、街灯だけがその場を照らす。街の喧騒が静まり返り、夜が始まった。そして、今日もやっぱり肌寒い。
空腹を凌ぐために水と野いちごを頬張る。正直量が足りないが、これがあるのと無いのとでは泥沼の差である。腹に食べた物が馴染ませるようにお腹を撫でて、上を見上げた。
空は晴れて、星々が爛々と輝いていた。
夏の大三角形はないかな、と探してみるが特になく。けれど北極星は何故かあった。有無の方向性がさっぱり分からず首を傾げるが、答えは浮かばない。
まあいいかとちょうどいい感じに馴染んだ腹を確認して、目を閉じる。
出来るだけ奥へと潜り込むように意識を沈ませる。すると誘い込まれるように、意識が途切れたのだった。
***
「アマノ、風邪ひいたけど治った〜」
「出会い頭にいきなり本題カミングアウトッ……え、なに。風邪?治った?意外と身体が強靭だね?」
「んなわけないじゃん、こちとら引きこもり歴三年なんだよ。めちゃくちゃ弱弱だよ」
「……それ、風邪じゃないのでは?」
困惑しながらも現状把握を努めようとするアマノに経緯を説明する。私の話に心当たりがあるのか、彼は成程と頷いた。
「それは魔力消費による疲労だね。そっかぁ、君は魔法がない世界から来たからそういうのも分からないんだね」
「……しみじみとしている所悪いんだけど、これだと魔法の特訓が全然進まないんじゃ?」
「はは!ま、ほら?魔法は一長一短で上手くなるものじゃないって学校の偉い人が言ってたよ。魔法使える子供よりも使えなくても、練習すればどうにか……なるかなあ……」
「そこは自信もって大丈夫って言ってくんないかなぁ!?」
まあ自分も無責任に大丈夫だよって言えないタイプだけどね!
そういうところだぞお前。
「……まあ、煮沸消毒や寒い夜を越すためにも火は使えるようになりたいかな。昨日は近い属性だから水魔法を試してみたけど失敗だったかも」
「そうかな?火は便利だけど危険なものでもあるから、最初なら水でよかったんじゃない。木に引火したらたまったもんじゃないよ」
それもそうか。
あの公園は沢山の草木があったから、燃えた時の損害が凄いだろう。あと公共の施設を壊したら流石に捕まりそうで。それはさすがに、ね。
「……うん、水魔法が使えるようになってから火魔法の練習をするわ」
「そうした方がいいよ」
こうして本日の作戦会議は終わったのだった。
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津田刑部(プロフ) - ペポさん» わわ、ありがとうございます!まだまだ拙くキャラも全く登場していないですが、頑張って最後まで漕ぎつけようと思います! (2019年2月15日 22時) (レス) id: de60c3f2db (このIDを非表示/違反報告)
ペポ(プロフ) - スッゴク面白いです!無理せず頑張って下さい! (2019年1月3日 17時) (レス) id: 98f13d03ca (このIDを非表示/違反報告)
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