図書館２ ページ27
とりあえず、最初は全部簡単に見てみよう。
１冊目は『小学生でもわかる世界史』
表紙は可愛らしいイラストがプリントされている、子供向けの本だ。パラリと中身を見れば、簡易な漫画も描かれていて随分と凝った作りになっている。
２冊目は『英雄と五つの物語』
絵本とラノベの中間あたりにある、子供向けの小説だ。厚みがある代わりに文字が大きい、初心者に優しい作りになっている。
３冊目は『各地の神話』
様々な国の神話を集めた短編集。と言っても、初心者用といったので難しい字はなく、ひらがなが多い。
…どれも面白そう。もし調査のために来たわけじゃなかったら、他の作品も含めて六時間ぐらいここにいたかもしれない。それぐらい、私はワクワクしていた。
とりあえず最初は１冊目から。とページをめくる。
すぐさま私は話にのめり込み、時間は過ぎていったのだった。
◆
読み始めてから三時間半。
パタン、と三つ目の本を閉じてホッと息をつく。読み終わったという充実感が胸に広がり、肩に力が入った。
…面白かった。うん、面白かった。
が。
マジファンタジーという言葉がぴったりなほどもうゴッテゴテの異世界設定。あいたたた、と頭を抱えたくなるような痛い厨二用語。
こんな世界で生きるとか私大丈夫か…？と今更ながら不安に思ってくるほどの濃ゆい内容に胃が軋む。
あと、歴史の内用に疑問点がないわけじゃない。そのことについては時間があればアマノに聞けばいいが、答えてくれるか疑問のところだ。だってあいつSAN値低いし、発狂させるのは私も望んでいない。
今回の論点はそこじゃない。三冊とも結局、彼の言う手がかりを掴めなかったのだ。全くとは言わないが、ちょっと行動を起こすには難しい。
…むしろ、普通に魔法の特訓した方が早い気がしてきた。と言うかこれが正解だろ。ほら、RPGだって序盤の育成は大事じゃん？サボったら中盤に詰んでリセットするはめになったのを私は覚えている。しかもこれは人生なのでリセットなんて便利なものはない。
やっぱ特訓しなきゃ(確信)
《閉館時間まであと十分です。お残りのお客様は早めにおかえりにーー》
アナウンスが館内に響き渡る。もうここまで時間が経っていたのか、と驚くと同時に自覚をすればなんのその。疲れがどっと溢れてきた。
今回は、ここまで。一度拠点である公園に戻ろう。
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