くまさん(病)@3

@128(村) ページ29

家に着いたのに車のドアを開けると荒い呼吸と震える体で倒れてくる大倉。

正直亮も安もいない状態でしっかりこの状況に対処できるか不安しかなかったが、どうにか息が整ってきた大倉はやはり、ごめんと小さな声で呟いた。

「大倉、ええから少し寝ろ。部屋には運んだるから。おやすみ。」
そう言ってブランケットをかけるとすぐに体から力が抜けた。

「丸、その鞄に鍵が入っとるからとっといてくれんか。あと、大倉は俺が持つから、荷物出来るだけ持ってくれ。」

「、、うん、、なぁ、信ちゃん、俺、ちゃんと大倉の支えになれる？」

泣きそうな声で顔でそう言う丸は、きっと今の俺の不安さも汲み取ってしまったんだろう。情けない、でも、仕方ない。これに関しては誰だって不安だし、1番は、、

「そんな事分からんわ、俺かて。でもな？俺らが不安になってもしゃーないやん。1番は大倉が不安やねん。どうにもできない不安とか、ストレスとか、恐怖と毎日戦ってんねん。泣きたいのに、怒りたいのに、それもできないまんま、この何十年、誰にも見せないまんま。ほんまに、出来すぎた末っ子やな。」

今思う思いの丈をとにかく話すしかなかった。俺も本当はどうしたらいいかなんて分からない。

「、、せやね、、大倉、たくさん我慢して耐えて笑ってたんやな。支えになる以外なんもないんやったら一生懸命支えになる。行こか！信ちゃん！」

その時の丸の表情はさっきの不安が嘘みたいに晴れた顔をしてどこか決心がついたような、心のモヤが取れたような顔をしていた。

「ええから、はよ鍵と荷物とってくれや、大倉持ちたいねん！はよ！！起きてまうやろ！！」

「あ！ごめんごめんw」と笑いながら荷物を手一杯に持った丸は何故か楽しそうに先頭を歩いって行った。

「おい！まる！お前がドア閉めな！！誰が閉めんねん！！腕は二本しかないねん！！」

あははと笑いながら小走りで戻ってきた丸がドアを閉めるのを確認して病院の時とは大違いな空気感で大倉の部屋に向かった。

部屋につき、すぐに大倉をベッドに寝かし、寝てる大倉の体温を測るとまだ38.7度。
きっと本当に熱の怠さはないだろうがとりあえず夕飯のお粥を作る。

「料理とかすんの？」とか理想の彼女の料理とかくだらない話をしながら夕飯を作っていた。

「、はっ、、村上く、。、まぅ、、はぁ、は、」

後ろから苦しそうな声と壁を這う音が聞こえた。
はっと後ろを見ると大倉が苦しそうに壁を這いながらヨタヨタと歩いてきていた。

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