@115(丸) ページ16
おかしい。
いつもなら1番に覚えて一度自主練習に入るのが大倉と、安。その次に亮ちゃん、信ちゃん、ってぬけていくのに、信ちゃんも亮ちゃんもいない中に大倉が残っていた。
「珍しい人が残ってますね〜。少し休憩取りますか?」なんて、振り付けの先生でさえ心配になるほど。
「大倉、一度、休もう。みんなで、」
信ちゃんが心配して駆け寄って大倉の腕を引く。
信ちゃんの手を振り払ってダンスを続けようとする大倉がふらついたかと思えば転倒した。そこを信ちゃんが支える。
「、、っ、は、はぁ、、あ、れ〜、、なんでっ、」
上半身を支えられた大倉は眉間に皺を寄せて珍しく息を切らしていた。
危ないと判断したのか、信ちゃんと章ちゃんが目を合わせて大倉の説得に入る。何があったのか、めちゃくちゃ心配そうなのに、亮ちゃんは近寄らずに遠くからそわそわと大倉を見ていた。
「大倉、一度休憩してからしよ。」
「なん、、そんな、だい、、、っ、はぁ、は、」「息上がっとるやん、しばらく運動しとらんかったから、しゃーないって、休憩も仕事やで、」
「いや、、っだいじょぶっ、、やすんだら、忘れてまう、、ふっ、、、っつ、あ、、」
村上くんの腕を振り切って立ち上がった大倉は一瞬で膝から崩れ落ちた。
それを支えたのは亮ちゃんで、ばかやん。と一言言うと、ヒョイっとお姫様抱っこして、腰痛の安の為のマットに寝かせた。頭が痛いのか、息が苦しいのか、目をぎゅっと瞑ったままの大倉は、目元を隠して、はっ、はっ、と呼吸する。
亮ちゃんは慣れた感じでカバンから新品の紙袋を取り出して、大倉の横に置いた。
しぶやんと裕ちんは、なにをしたら良いのか分からないらしく、オロオロと周りを動き回る。
「はっ、、はぁ、、は、ごめ、、なさい、、、っ、、うっ、、くぁ、、はぁ、は、は、、、」
「ええから、ゆっくり呼吸してや〜、紙袋するか??」
信ちゃんは優しく大倉の耳元で声をかけるが、紙袋と聞いた瞬間、体が強張って首を激しく横に振った大倉。
不思議に思いながら見ていると、安が心苦しそうに
「紙袋で息整えるの、何回やっても苦しいんやと、思うんよ、いつも手で退かそうとするから、、あまりにも酷いとやらないかんのやけどね、」と教えてくれた。
亮ちゃんはしばらく黙って見ていたが、3分程経過した時、大倉を横向きにさせて背中を撫でた。
それから5分程で大倉の呼吸は整ってきて、気づけば大倉の手に握られていたタオルがヒラッと地面に落ちた。
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こう(プロフ) - 久々の更新ありがとうございました!作者様の無理のないように更新してください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 2754d8d796 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - こうさん» コメント当時、お返事が出来ずに申し訳ありません。今もこの小説を見てくださっているかは分かりませんが、楽しみにしていましたという言葉が嬉しくてまだ続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - みどりむしさん» 体調の心配までしていただいたのに、当時返事が出来ずに申し訳ありません。この長すぎる小説を今も見てくださっているかは不明ですが、このコメントのお陰で続けて僭越ながら続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 和貴さん» コメントありがとうございます!このまま更新していいという言葉が多かったのでこのまま続けさせていただきます!無理のない範囲で更新頻度も少しではありますが上げていく予定です。今後もよろしくお願いします。和貴様もコロナにはお気をつけ下さい。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - ジェイさん» コメントありがとうございます!ご心配ありがとうございます!今までより元気な日も増えましたので、更新頻度も少しではありますが上げていく予定です!このまま更新していいという言葉が多かったので、このまま更新させていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2018年9月20日 10時