くまさん(病)@3

@114(安) ページ15

亮は1番近くで、初めからずっと大倉を見ていたから、悔しかったのだろう。すばるくんが正しいと、自身が苦しんだ事を無かった事にして、これからもずっと隠していくことを大倉に選択させてしまったことが。

初めは怒りに任せて怒鳴っていたのに、最後には泣きそうな顔になり、初めはぎゅっと掴んでいた大倉の襟元の手も弱々しく震えていた。

大倉はただ揺さぶられながら真っ直ぐ亮の顔を見て、悲しそうな顔をしていた。

亮が話し終わると、そっと掴んでいる手を掴んで、一言ありがとう。とだけ微笑んだ。

ガチャっと扉が開き顔を覗かせた村上くんがただでさえ大きな目を更に大きくし、ビュンッと近寄ってきて亮と大倉を引き剥がした。

「亮！何してんねん！安も止めな！危ないやろ！！ほんまに！何があったんや！大丈夫か！」

「村上くん、大丈夫やで。亮ちゃんも安も、優しすぎんねん、知ってるやろ？」

ニコッと笑って村上くんをみると、亮は無言のまま、苦しそうに、今にも泣き出しそうに楽屋を出た。

村上くんはしばらく眉間に皺をよせて、「とりあえず、今ははよ衣装合わせ行ってこい。またメンバーで話する時間つくろ。」と、楽屋の扉を開けて誘導した。

大倉は、「はーい、安、行こ！衣装さんに怒られんで！」とすぐに出て行った。

俺も後について行こうとすると、

「なぁ、安、大倉、やばい気がするけど、亮も見たいたらな。すばる、横、丸にも言うとくわ。とにかく、大倉の事注意深く。」

みんな分かってると思うけど。と、念を押すように村上くんが、背中を押した。


分かってる、きっと今亮は怒りに任せて無理をするし、大倉は自分では気づいていないかもしれないけど、ずっと手が震えていて、それを押さえ込むように爪を立てていた。

本当ならこんな状態でリハなんかしないんだけど、今止めたって2人はきっと反発してくるから、とにかく、見守る他なかった。


そんなこんなで衣装合わせが終わって、次はダンスリハ。

亮以外は何事も無かったように、今回の衣装について話をしたりしながら、リハ室に向かった。

準備体操してすぐに振り付けの指導に入った。

比較的、ダンスが得意な大倉と俺と亮は基本的にいつも1回目か2回目で覚えて各自苦手な所を一度自主練にはいったりする、次に村上くんが合流して、、って感じがいつものパターン。でも、今回は流れが違った。

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