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「貴様が樋口か」
「否、あの、誰ですか?」
師匠が死に、葬式を終え、何時もの日常へと戻った私。師匠の墓には毎日通い、二時間程喋り倒すと帰る、と云う日々を送っていた。
師匠の墓の帰り道。全身黒装備をした謎の男性が私の前を塞ぎ、名を確認してきた。
――如何にも怪しい人物。何故私の名前を知っている?何処からその情報を――
私なんかが考えても判らないのだがグルグルと頭のなかで永遠のループをしながら考える。
「
――怪しい。先ず、一人称が
「す、すいません!!」
僕さんに謝ると私は全力でその場から逃げた。彼処は危ない。僕さんは精神的にも、その他(服のセンスとか)も色々とヤバい。
私は何も見なかった、聞いてない!!
つい1分前の出来事を頭から抹消すると後ろからダダダッと複数の足音がした。
え?複数足音?
「待ちやがれ!!」
「ひ、ひえぇぇ!!」
どうやら私は逃げるルートを間違えたらしい。変な取引現場を見たと勘違いされてしまったようだ。今日は
路地裏の端っこまで迄逃げて来たが追い付かれてしまった。状況は可也ヤバい。私の前には壁しかないし、後ろには黒服。空は憎む程の晴天で月なんて出ていない。となると、異能も使えない。
ヤバい、ヤバい、ヤバい。
樋口一葉14歳。師匠、直ぐに後を追います。
死を覚悟した時だった。とある、聞き覚えのある声が聞こえた。
「ゴホッ、僕は芥川。――ポートマフィアの狗だ」
先ほどの人だ。黒衣の服が風に靡いたかと思うと私の目の前ににいる敵を一掃し私に近づいてくる。
「こんな処に居たか、女。貴様は樋口一葉で間違い無いな」
「――格好いい」
「………」
純粋に格好いいと思った。私を助けてくれた彼に憧れ、凄いと思った。私の心は――至極単純だった。
「芥川さん…否、芥川先輩。どうやったらそのポートマフィアに入れますか?」
芥川先輩の後ろに居たいと思った。芥川先輩を私の力で支えたいと思った。芥川先輩が――知りたいと思った。
芥川先輩は私の問いを聞き嗤った。
「簡単だ。僕に着いてこい」
僕に着いてこい=結婚しろ
私の脳ミソは御目出度い。
「はい、芥川先輩!!一生着いていきます!!」
私は新しい世界に一歩踏み出した。
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